ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

松江百景

小池婆の怪(其ノ参)- 松江百景異聞 -

「松江百景異聞 - 小池婆の怪 -」も今回で其ノ参を迎える。 これまでの話、其ノ壱と其ノ弐を未読の方は、以下にその道程を標すので、お暇があれば読んでいただけると幸いである。 さて、これまでに二つのタイプの小池婆の話、「小池婆タイプA - 草鞋取型 -」…

小池婆の怪(其ノ弐)- 松江百景異聞 -

話を再開して「松江百景異聞 - 小池婆の怪 - 其ノ弐」に移りたいと思う。 「小池婆タイプA」の話を繰り広げた初回の其ノ壱をまだお読みでない方は、ぜひ其ノ壱からお読みいただくことをオススメするので、以下にその道程を標す。 前回の「小池婆タイプA」の…

小池婆の怪 (其ノ壱)- 松江百景異聞 -

島根県の松江市に言い伝わるこんな話をご存知だろうか。 昔、雲州松江の「小池」という武家に仕える草鞋取の男が、正月に一日だけ暇をもらい古志原の実家に帰った時の話。 翌日が主人の登城日にあたるため、それに合わせて帰らねばならぬと言って、まだ夜も…

須田石材店のモアイ像 - 松江百景

先日、とあるインターネット上の記事で、イースター島のモアイ像の発掘調査の事が書かれていた。 どこぞの大学の研究チームが、年代の古いモアイ像の土に埋もれた胴体部分を発掘しているという内容だったと記憶している。 モアイといえば皆さんご存知、イー…

愛宕不動明王座像 - 松江百景

愛宕山といえば、日本全国各地にその名のついた山が存在するので、多くの人が聞き覚えのある名前だと思う。 愛宕というのは伝播地名のひとつで、愛宕信仰によって広まったものとされており、そのため大抵の場合、愛宕山と名のついた山の頂には愛宕神社を祀っ…

澄水山のスリットダムB型 - 松江百景

松江にはたくさんの山がある。 山がある場所には決まって砂防ダムなんてものがある。 砂防ダムとは土砂災害に特化した防災設備であるが、最近では区別化を図るために砂防ダムとは呼ばずに砂防堰堤と呼ぶのだそうである。 ぼくは山の中に迷いこむのを趣味とし…

ヘルンナンデス・レオ - 松江百景

松江市のとある街角にまっしろフサフサのかわいい犬がいる。 というわけで今回の松江百景、「ヘルンナンデス・レオ」である、ぼくは「レオちん」と勝手に呼んでいる。 どうやらとある染物屋さんの看板犬らしく、毎日毎日そのお店の店先で座ったり寝っ転がっ…

松江城石垣の五芒星紋(安倍晴明判紋)- 松江百景

松江城周辺をブラブラと散策していてふと石垣に目をやると、ずいぶん上の方に組み込まれた石に「石工〇〇」のような文字が書いてあることに気が付く。 気になったので調べてみると、 どうやら松江城の石垣には、松江城を築城した堀尾家の権力誇示のために家…

六坊港 - 松江百景

島根に来てからいろいろな場所の海や港に行ったけれど、その中でも今のところダントツに海水が綺麗だった漁港がある。 というわけで今回の松江百景は、「六坊港」である、訪れた時には読み方がわからなかったが、「六坊(むつぼ)」と読むそうだ。 この小さ…

足留め布袋【其ノ参】- 松江百景

松江百景、「足留め布袋」の続きの続きを話すことにする。ちなみに前回までのあらすじは書かないので、前回と前々回を読んでいただきたい。 「・・・まあ数日は用事もあったから、休みの日にもう一度そのお家に行ったわけです。 それでね、まあそのお家に伺…

足留め布袋【其ノ弐】- 松江百景

松江百景、「足留め布袋」の続きを話すことにする。 「・・・そしたらね、その数日後になくなってるんですよ、布袋様と猩々が。 だから、あれっと思って、連れがね捨ててしまったんじゃないかと思って慌てて聞いてみたら、いくらなんでもだまってそんな捨て…

足留め布袋 - 松江百景

とある小さなアパートの階段付近に布袋様の像が置かれている。いつもいつも気になっていたので満を持して見に行ってみる。 というわけで、今回の松江百景は「足留め布袋」である。 布袋といえば七福神のメンバーでもおなじみの、背中に担いだ大きな袋と、は…

ギロチン松 - 松江百景

松江城を囲むお堀の一角に、ひときわ目立つ独特の松の木が生えている。 堀の水面に湾曲するように頭を垂れている松の幹が遊歩道を跨いでトンネルのようになっているのだが、 「わ〜い、松の木のトンネルだ〜!」などと言って迂闊に走りぬけようとすると、そ…

溝口善兵衛屋敷門 - 松江百景

時々通る道の途中に、大きなお屋敷がある。 いつ通ってもその大きな門が閉ざされていて中は見えない。ずいぶん立派なお屋敷だなあとは思いつつも、それほど気にかけてはいなかったのだが、ある日、その門の前で通りすがった人がこう言っていた。 「あっ、こ…

松平直政の騎馬像 - 松江百景

世の中のいたる所には、歴史上の人物だったり著名人だったりのブロンズ像ってものがよく立てられているのを見かけるが、ぼくは基本的にそういう多くのブロンズ像にはまったく興味が無い。 そしてたいていの場合、「これ誰だよ。」というパターンが多い。 ま…

自由の女神像 - 松江百景

自分の住んでいる街の好きな景色ってあると思う。 そしてそういう景色には思い出が沢山詰まるのである。東京に住んでいる頃にも好きな景色はたくさんあったけれど、ちゃんとまとめてみたことはないなあと思い、じゃあせっかくだから今住んでいる街のぼくだけ…

美保神社にある鬼女退治の衝立

先日、美保関を訪れた際に立ち寄った美保神社、帰り際にその社務所の横にふと目をやると、なにやら曰く有りげな衝立がさり気なく置いてあることに気が付く。 髪の毛のアンテナがビリビリと唸るので、さっそく近付いてよくよく見てみる。 その衝立には全面に…

三瓶山の殺生石

江戸時代に書かれた松江松平藩の地誌「雲陽誌」の山口の項に以下のような記述がある。 と、唐突に話はそれるのだが、ここで少しぼくの読んでいる「雲陽誌」について書いてみようと思う。 ぼくのいま参考にしているのは昭和四十六年に発行されている雄山閣版…

東生馬町の耳穴虚空地蔵菩薩

ある日の散策時、田んぼ脇の土手の上にふと目をやると、森を背負った小高い土手の最奥にお地蔵様のような影を発見する。 地蔵好きにとって、そのお地蔵様がおられる立地というのは、実に重要な鑑賞ポイントとなる。 そういった観点からして、あのお地蔵様は…

玉造要害山の大天狗(後編)

石段を駆け上がったぼくの前に姿を現したのは朽ち果てた社であった。 神社であることはなんとなく把握できるのだが、どう考えてもいまはもう何も祀られてはいないのではなかろうかという状態で山の頂上に佇んでいる。遠目ではあるが、社の奥の方に何やらあぐ…

玉造要害山の大天狗(前編)

玉造温泉に足を運んだ際に訪れた玉作湯神社、 『延喜式』および『出雲国風土記』に記載のある古社であるとの記述があるが、創建時期は不明だとのことである。 延喜式 (日本歴史叢書) 作者: 虎尾俊哉,日本歴史学会 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 1995/…

善導寺の稲荷神社にある荒川亀斎の白狐

松江をはじめておとずれた際の印象はと言えば、お寺がたくさんあってよいなあということだった。 「寺町」という地名にも表されている通りのお寺だらけの地域がある。 全国にも寺町と言われる場所は数多くあるし、そういうところにはわりと古いものが残され…

城山稲荷神社にある石狐たちの聖域

小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが足繁く通ったと言われる城山稲荷神社。 徳川家康の孫にあたる松平直政が藩主としてここ松江に入国した翌年に、藩内の安穏と繁栄を祈念して、かねてより信仰のあった稲荷大神(宇迦之御魂神)を、出雲隠岐両国の守護神とし…