ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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善導寺の稲荷神社にある荒川亀斎の白狐

松江をはじめておとずれた際の印象はと言えば、お寺がたくさんあってよいなあということだった。

 

「寺町」という地名にも表されている通りのお寺だらけの地域がある。

 

全国にも寺町と言われる場所は数多くあるし、そういうところにはわりと古いものが残されていたりして散策にはもってこいの地域と相場が決まっている。

 

というわけで、ぼくも松江に来てからけっこうたくさんのお寺を歩きまわった中で、気になるものがあったお寺さんがある。

 

和多見町にある善導寺というお寺さんである。

 

このお寺の詳細については浄土宗だということ以外、調べていないのでよくわからないのだが、お寺の敷地内に稲荷神社が祀られている。その稲荷神社に奉納されている一対の白狐が、なかなかの見応えだったので調べてみると、どうやら名のある人物の作らしい。

 

荒川亀斎(あらかわきさい)、文政から明治にかけて生きた島根県松江市出身の彫刻家で、木彫りの名手らしい。

 

なぜか機械器具の発明家でもあるらしい。そしてなんと小泉八雲も松江にいた時に、荒川亀斉の木彫に惚れ込んで仏像を依頼したことがあるそうだ。

 

荒川亀斎の白狐

 

お寺に入ってすぐの稲荷神社の中にその一対の白狐はスタリと座っていた。あいにく神社の戸には鍵がかかっていて近くで見ることは叶わなかったが、それでもなかなかの見応えある木彫の白狐である。二匹とも実に生々しい姿でかつ美しいフォルムをしている。

 

住職に声をかけて近くで見せてもらおうと思ったのだが、あいにく本堂の中から読経の声がこだましており、駐車場にはたくさんの自動車が停まっていたので何かの法要の最中であろうと思い、さすがにその時はとんだ迷惑だろうと思い断念した。

 

荒川亀斎の白狐

 

東京にいる頃にも実にたくさんの稲荷神社を見て回ったけれど、なかなかこういうものには出会えないのである。もしあったとしても間近で見ることが出来ない場合が多いのだなあ。

 

ちなみに荒川亀斎の作品は、どうやら松江には他にもたくさんあるらしいので、今後は散策の際に気にしてみようと思っている。

 

というわけで、次回おとずれる際には住職を探しだして、「見せろ見せろ!」と泣いてすがって近くで見せてもらおうっと、などと考えている昨今である。

 

 

 

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