ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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小説-八月怪談

四日『酔いどれ幽霊談義』- 八月怪談

「よくさあ、テレビの心霊番組なんかで、壁から女が出てきたとか、天井から子供の顔だけが覗いてたとかいう話が出てくるけどさ、幽霊って、そういう物質を通り抜けちゃうものなの?」 野田は酒を飲みだすと、いつも決まって幽霊とか妖怪とか伝説とか、そうい…

三日『天使と悪魔』- 八月怪談

一週間ほど前から下腹部に鈍い痛みがあった。 このところ仕事が忙しい上に社内での揉め事が多く、すいぶんと精神的なストレスも溜まっていた。それを洗い流すかのように、毎晩のように営業主任の高橋さんと仕事終わりに大酒を喰らっていた。 「このあいだか…

二日『神喰い』- 八月怪談

朝起きると、居間のテレビの上に置いてある宝船の七福神がすべていなくなったと言って、祖母が騒いでいる声が階下から聞こえた。 「ミホさん、ミホさん、テレビの上の七福神さんが、みんないなくなってるけれど、どうしたのかしら!?」 町内会の旅行でどこ…

朔日『白い毛玉』- 八月怪談

毎月のついたちになると、きまって奇妙な白い毛玉のようなものを見かける。 見る場所は定まっていない。朝の出勤途中の路肩のゴミ置き場にいることもある。駅のホームの一番端の暗がりにいることもある。公園の砂場や、コンビニの駐車場や、自動販売機の脇や…