ペニーワイズを超える恐怖のロナルド、『イット - マクドナルド・エディション』の予告編公開。

2017年3月29日にワーナー・ブラザース・ピクチャーズ（Warner Bros. Pictures）より公開された、アンディ・ムスキエティ（Andrés Muschietti）監督による2017年版新生『イット』初となる予告編映像の再生回数が、現時点（2017年4月17日）でなんと2,600万回に手が届こうとしており、この記録的な数字が米国では大きな話題を集めている。

しかし、この予告編への注目は良い話題だけに限ったことではなく、つまり物議までをも醸している。作品に登場する皆さんご存知恐怖のクラウン、“ペニーワイズ”の再来が、ある特殊な職業の人々に影響を与えているからだ。もちろんそれは、まっとうに暮らしている“善良な”クラウンたちである。予告編の公開後、その話題性もさることながら、映像に登場するペニーワイズがあまりにもクリーピーであるとして、人々のクラウンに対する恐怖心が増長してしまい、クラウンたちへの仕事の依頼や活動に多大な影響を及ぼしているというのである。

同様のクラウン現象は昨年（2016年）にも起こっている。このウェブログで再三に渡って触れてきたが、米国に端を発して世界中に蔓延した、ご存知“不気味なクラウン目撃騒動”（2016 clown sightings）によって、欧米の職業クラウンたちが大きな煽りを受けたのである。

このクラウン騒動に関する記事は、同ウェブログのブログ内検索で“クラウン”あるいは“ピエロ”などと検索していただければ、腐れた沼に沈んだ名も知れぬ死体の如き様相を呈した記事群が浮かび上がってくるので、興味のある方はぜひお読みいただきたい。

ちなみに、今回の『イット』予告編の影響に対するクラウンたちの怒りの矛先は、本作品の原作者であるスティーヴン・キング（Stephen Edwin King）にも当然向けられているようで、キングは自身のツイッターにこんな投稿をしている。

The clowns are pissed at me. Sorry, most are great. BUT...kids have always been scared of clowns. Don't kill the messengers for the message.
— Stephen King (@StephenKing) 2017年4月10日

「クラウンたちは私に怒っている。ごめんね、ほとんどのクラウンは素晴らしく善良ですよ、だけどね・・・、子供たちはいつだってクラウンを恐れているんだよ。」というようなことを言っているね。

さてそんな中、前述の『イット』の予告編に触発された人物が、ペニーワイズを遥かに越えるほど有名な恐怖のクラウンを掲げた『イット』予告編のパロディ映像を公開したので、今回はそれを取り上げてみたい。

自称“浪人映画製作者”のダニー＆マイケル・フィリポー（Danny & Michael Philippou）による『イット - マクドナルド・エディション』（It - McDonald's Edition）である。

image source: It - McDonald's Edition

ダニーとマイケルはおそらく兄弟かな？まあそれはさておき、マクドナルドのクラウンと言えばもちろん、ロナルド・マクドナルド（Ronald McDonald）である。日本では“ドナルド”・マクドナルドとして知られていて、これはマクドナルドが日本に進出した際に「ロナルドって発音しにくくねえ？」と言い出した輩がいたらしく、ドナルドという名称に変更されているが正式にはロナルドなので、今度街で見掛けたらきちんと「おい、ロナルドじゃねえか！」と口走っていただきたい。

さて本作品であるが、パロディ映像によく見られるような単なる映像差し替え作品ではなく、きちんとオリジナルのシーンを付け加えた上等なパロディ作品に仕上がっているところがなかなか素晴らしい。