ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ピエロなんて怖くない、“コルロフォビア”を克服する恐怖のクラウン短編作品セレクション。

“コルロフォビア”(Coulrophobia)という言葉をご存知だろうか?

 

もしこのウェブログを時々読んでくださっているという奇特な方であれば、無駄に多用されている言葉なのですでによくご存知かもしれない。

 

これは日本語に訳すと“道化恐怖症”、つまりサーカスなどでお馴染みのピエロに対して異常な恐怖心を抱く病的心理のことを指し示す言葉である。

 

この「フォビア(phobia)」というの は、古代ギリシア語で恐怖を意味する「ポボス(phobos)」という言葉が語源だとされており、様々な恐怖症を表す言葉には必ず使われている。例えば恐怖症の代表格である高所恐怖症は「アクロフォビア」、他にも男性恐怖症は「アンドロフォビア」、女性恐怖症は「ガイノフォビア」、そして例えば映画のタイトルでも、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Allan Spielberg)が製作総指揮を務めたフランク・マーシャル(Frank Marshal)の初監督作品『アラクノフォビア』(Arachnophobia)は、蜘蛛恐怖症という意味である。

 

道化師、つまりピエロというものがあまり一般的ではない日本においては、厳密な意味でのコルロフォビアに悩んでいる方は非常に少ないかもしれないが、欧米ではこのコルロフォビアに悩まされている人々がずいぶん多いということであり、あのジョニー・デップが重度のコルロフォビアであるという話は有名である。

 

関連記事ジョニー・デップが持っている、不気味なピエロの絵画の話。

 

ちなみにピエロ(pierrot)というのは厳密にはクラウンの一種であり、日本でピエロと呼ばれているものの多くは正確にはピエロもひっくるめてクラウンと呼ぶべきものである場合が多い。そのため以降はピエロではなくクラウンと表記させて頂く。

 

そして、このコルロフォビアというものの影響かどうかは定かではないが、欧米の映画、特にホラー映画において、クラウンを恐怖の対象として描いた作品が実に多く製作されている。

 

例えば比較的新しい作品で言うならば、2017年9月8日に米国での公開が予定されているアンディ・ムスキエティ(Andrés Muschietti)監督のリメイク版『イット』(It)や、ビル・モーズリー(William Moseley)が人喰いクラウンを演じて話題となっているヘインズ・ホイットモア監督の『クルピトゥス(原題)』(Crepitus)、他にもアーロン・ミルテス(Aaron Mirtes)監督の『Clowntergeist(原題)』やクリストファー・レイ(Christopher Ray)監督の『Circus Kane(原題)』などなど、2017年に公開が予定されているメジャー作品でぼくが知るだけでも、すでに4作品も存在している。

 

関連記事S・キングも太鼓判を押す、アンディ・ムスキエティ監督の2017年版『イット』前編がワンダフルらしい。

関連記事ビル・モーズリーが演じる人喰い道化師の名はクルピトゥス、恐怖のクラウン映画『CREPITUS』。

 

もちろん過去の作品に至っては、細かなものまで含めれば相当な数にのぼるはずである。

 

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さて、今回取り上げるのはそういった恐怖のクラウンをテーマに扱った作品なのだが、その中でもインターネット上で手軽に鑑賞できる短編作品にスポットを当ててみることにする。

 

というわけで、“クラウンなんて怖くないぞ!コルロフォビア完全克服企画”、恐怖のクラウン短編作品セレクションをお送りしたい。

 

ではさっそく、まずはセバスチャン・ロペス(Sebastian Lopez)監督の『ザ・キリング・ジョーク(原題)』(The Killing Joke)。

 

これはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスを舞台に描かれたちょっと不思議な雰囲気を持つクラウン作品である。どうやら70年代のホラー映画におけるサスペンス要素に大きな影響を受けて制作されているようである。約15分ほどの作品となっている。

 

ちなみに紹介する作品はすべてすぐにでも鑑賞可能な短編作品のため、内容に関する説明は極力割愛させていただくので、あしからず。

 

 

次に、AJ・ブリオネス(AJ Briones) 監督の『ザ・スマイリング・マン(原題)』(The Smiling Man)。

 

この作品は以前にも取り上げたことがあるのですでに鑑賞済みの方もいるかもしれないが、女の子が自宅で体験する恐怖を描いた物語である。約7分ほどの作品。

 

 

さて次、トミー・グロース(Tommy Groth)監督の『オール・ユー・キャン・イート(原題)』(All You Can Eat)。

 

こちらも以前に取り上げているが、小さな町に住むクラウンの秘密を描いた作品である。作品の時間は約3分と非常に短いが、なかなか怖い作品である。

 

 

そして次、ベン・ケント(Ben Kent)監督のスティッチーズ(原題)』(Stitches)。 

 

こちらも最近取り上げているが、ブラッディ・カッツ(Bloody Cuts)提供による、『クラウン・イン・ザ・コーナー』(Clown in the Corner)という古典的な都市伝説を元に制作されている作品である。時間は5分半と比較的短い作品。

 

 

まだまだあるよ、次はジョン・フィッツパトリック(John Fitzpatrick)監督の 『ウェルカム・トゥ・ザ・サーカス』(Welcome to the Circus)。

 

タイトルは何やら楽しそうであるが、もちろん恐怖のクラウンもの。ちなみにこの作品は“Scary Endings”という、ホラー好きのアーティストたちが有志で集まって制作している短編シリーズのシーズン1最終話(10話目)となっている。こちらもサクッと約4分の作品。

 

 

さてさて次は、 マイケル・エヴァンス(Michael Evans)監督による『2AM(原題)』。

 

この作品については、これが果たして恐怖のクラウンものなのかどうかということに関して、ざっくり意見が別れるところだと思う。ただ個人的な見解として、これはまさしくクラウンものに違いないと思うので、取り上げてみる。約4分の作品である。

 

 

最後はこちら、ドリュー・デイウォルト(Drew Daywalt)監督の『ジャック(原題)』(Jack)。

 

こちらは実に1分という超短編、タイトルからもわかる通り、“ジャック・イン・ザ・ボックス”をテーマに扱った作品である。

 

この他にも、恐怖のクラウンを扱った短編作品は探せば山ほど存在すると思う。そして今回は個人的な判断としてある程度のクオリティー以上のものをご紹介しているが、また新たな名作秀作を見つけた際には小出しに取り上げてみたいと思っている。

 

というわけで、最後のデザート的な作品で、お開きとさせていただきたい。

 

どれが一番お好みだったであろうか?

 

そして、果たして、コルロフォビアは克服できたであろうか・・・?

 

 

 

 

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月白貉