ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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伝説の巨人ヤン・シュヴァンクマイエル監督による最新であり最後の作品『蟲(原題:Hmyz、英題:Insects)』

ヤン・シュヴァンクマイエルとぼくとの出会いは、もう20数年前まで遡る。出会いと言ったって実際に逢って握手を交わしてハグしたわけでは当然ないが・・・、あの時の『アリス』の衝撃はいまでも生々しく覚えているし、もう20年来のヤン・シュヴァンクマイエル愛好家である。

 

その伝説の巨人ヤン・シュヴァンクマイエル(Jan Švankmajer)監督による最新長編作品であり、彼の最後の作品だと言われている『蟲(原題:Hmyz、英題:Insects)』が、遂に2018年に公開される。

 

Hmyz

image source: Jan Svankmajer – Thank you! - YouTube

 

本作品はクラウドファンディングのインディーゴーゴーにおいてキャンペーンを打ち立てており、なんと約30万ドルの資金援助を獲得している。

 

その大いに期待される最新作の概要であるが、カレル・チャペック(Karel Čapek)とヨゼフ・チャペック(Josef Čapek)のチャペック兄弟による戯曲『虫の生活から』と、フランツ・カフカ(Franz Kafka)の代表作『変身』における厭世観を、シュルレアリスムと融合させたものだということである。

 

チャペック戯曲全集

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変身 (新潮文庫)

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そして今回、なぜ資金調達にクラウドファンディングを選んだのかということに関して、シュヴァンクマイエルは以下のように述べているという。

 

「我々が生きているこの文明は信頼すべき芸術制作を必要としません。人間にさらに大量な消費を促すべく変容させるよう、今日を代表する図解的な芸術という、巧みに機能する広告を必要とします。故に、現在私たちが制作している、その破壊活動をこの社会に向けている映画の制作資金は容易に入手できるものではありません。自分を批判する他者を支援する人が果たしているのでしょうか。私たちは映画を5、6年のスパンで制作しています。この空き時間の長さは、私たちに撮る題材がないためではなく、新しい企画に必要な制作費を長い月日をかけて募らなければならないからです。そこで、クラウドファンディングはこれを可能にしてくれると思いました。」

 

「私の新作映画『蟲』をご支援くださる方に御礼申し上げたいです。そして、私にとって最後かもしれないこの長編映画を我が心、我が身を投げ打って作ることをお約束します。このクラウドファンディングが、私の映画制作の唯一の方法です。」

 

source: https://www.indiegogo.com/projects/the-last-film-by-jan-svankmajer-insects--4#/

 

そしてこのキャンペーンに対して、様々な著名人からのエールや資金援助も寄せられているようである。

 

例えばテリー・ギリアム(Terry Gilliam)、ミロス・フォアマンMiloš Forman)、スティーブン・クエイ(Stephen Quay)とティモシー・クエイ(Timothy Quay)のクエイ兄弟ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)、ヘンリー・セリック(Henry Selick)、ピーター・ロード(Peter Lord)、ジャン・ピンカヤ(Jan Pinkava)、デイビッド・スプロックストン(David Sproxton)、そしてチェコ共和国プラハの映画学校FAMUの学部長などなど。

 

そのメッセージ動画をいくつか取り上げておこう。

 

 

 

 

ちなみにこのキャンペーンに用意された資金援助者への金額別の特典として最大のものは、チェコ共和国にあるヤン ・シュヴァンクマイ エルの別荘にて彼とディナーが楽しめるというものらしい、そっ、それはもう愛好家にとっては楽園であろう、素晴らしすぎる。その他特典の詳細に関してはコチラを御覧いただきたい。

 

とまあそんなわけで、順調に制作資金調達を遂げた本作品は、もうかなりの部分の制作が進んでいるようであり、シュヴァンクマイエル本人からのサンキューなメッセージ動画も公開されている。

 

 

では最後に、シュヴァンクマイエル本人による本作品の紹介動画と、その予告編映像を取り上げておくので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。念のため、虫の嫌いな方には耐え難い映像かも知れないが、シュヴァンクマイエル愛好家に虫嫌いなどいないはずである、たぶん。

 

 

 

 

 

 

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