ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

follow us in feedly

恐怖の都市伝説ホラー!シルヴェイン・ホワイト監督『スレンダー・マン(原題:Slender Man)』の予告編映像が遂に解禁!

昨日の記事でも述べた通り、シルヴェイン・ホワイト(Sylvain White)監督による『スレンダー・マン(原題:Slender Man)』の予告編映像が遂に公開された。
 

 

関連記事予告編公開は本日か!?シルヴェイン・ホワイト監督『スレンダー・マン(原題:SLENDER MAN)』のポスター・ヴィジュアルが公開!

 

本作品に主要キャストとして出演しているのは、ジョーイ・キング(Joey Lynn King)とジュリア・ゴルダニ・テレス(Julia Goldani Telles)、そして物語の肝となるスレンダーマンを、怪人俳優としてお馴染みのハビエル・ボテット(Javier Botet)が演じている。

 

関連記事シルヴァン・ホワイト監督『スレンダーマン』のキャストが発表、ジョーイ・キングとかジュリア・ゴルダニ・テレスとか。

 

さて、当ウェブログでも時折触れているこの「スレンダーマン」なる存在、おそらくその名前を耳にしたことがある方は多いはずであるが、「スレンダーマンってなあに?」という方もいるかもしれないので、改めて少しだけ触れてみたい。

 

スレンダーマン(Slender Man、The Slender Man)とは、主に米国の都市伝説に登場する不気味な怪人であり、その身体的な特徴として、身長が異常に高く極度に痩せており、不自然に長い手足を持った人間の男性の姿をしていると言われている。そしてその身には、漆黒のスーツと白いワイシャツを纏い、さらに背中から複数の触手のようなものが生えているとか、瞬間移動の能力(スレンダー・ウォーキング)を駆使して瞬時に移動するとか、その姿を直接見た者は死ぬとか殺されるとか、そのような噂も囁かれている。

 

Beware the Slenderman (HBO Documentary Films)

image source: Beware the Slenderman (HBO Documentary Films) - YouTube

 

このスレンダーマンが何を目的として人々の前に姿を現すのかは、実際のところは謎に満ちている。しかし一説によれば、何らかの理由で特定した人間をターゲットとして執拗にストーキングをしたり、捕まえてどこかに連れ去り拉致したり、その相手に心的外傷を与えたり、最終的には殺してしまうなどと言われている。 またターゲットの多くは幼い子供たちだとも言われている。

 

このような多くの都市伝説に関しては大抵の場合、話の出処が曖昧模糊としている。しかし昨今では、都市伝説に特化した現代的な民俗学の研究、およびインターネットの普及などにより、一部の都市伝説について言えば伝説の発生源や発生理由などが仮説を含みつつも明らかにされているものも少なくない。

 

例えば日本の都市伝説における「口裂け女」などは、かなり真相に近いと思われる仮説が存在する。

 

そして実はこのスレンダーマンの都市伝説にも、明確な発生源が存在するのである。

 

2009年6月8日のこと、サムシング・オーフル(Something Awful: The Internet Makes You Stupid)というインターネット上のウェブサイト・フォーラムに、「Photoshopでパラノーマルな画像を創り出そう(create paranormal images through Photoshop)」という趣旨のスレッドが立てられた。その2日後の6月10日、このフォーラムにビクター・サージ (Victor Surge)、本名をエリック・クヌーゼン(Eric Knudsen)というフォーラム利用者が、黒いスーツを着た長身で痩身の怪しげな人物が、複数の子供たちと一緒に写っている白黒の写真を投稿したのである。

 

当初、その投稿は写真だけであったのだが、その後ビクター・サージは子どもたちがその怪しげな人物に連れ去られる様子を偶然見かけた目撃者か、あるいはその写真の撮影者が記したかの如き短いメッセージのような文章をフォーラムに書き込み、さらに写真に写っている謎の怪人物のことを「スレンダーマン(痩せ細った男)」と呼んだのである。

 

では、実際に投稿された2枚の写真と、同じく投稿された文章の内容を取り上げておこう。

 

Let the children...

image source: Let the children... by Victor-Surge on DeviantArt

 

"we didn't want to go, we didn't want to kill them, but its persistent silence and outstretched arms horrified and comforted us at the same time..." 1983, photographer unknown, presumed dead.

ぼくたちは行きたくなかったし、ぼくたちはみんなを殺したくなかったけれど、あいつは永遠に続く沈黙と長く伸びた腕を広げて、ぼくたちを怯えさせながらも、同時に慰めてくれたんだ・・・

1983年、撮影者不明、おそらく死亡したと推定される

 

Stirling City

image source: Stirling City by Victor-Surge on DeviantArt

 

One of two recovered photographs from the Stirling City Library blaze. Notable for being taken the day which fourteen children vanished and for what is referred to as "The Slender Man". Deformities cited as film defects by officials. Fire at library occurred one week later. Actual photograph confiscated as evidence.

1986, photographer: Mary Thomas, missing since June 13th, 1986.

スターリング・シティ図書館の火災現場跡から回収された2枚の写真の内の1枚。

この写真は14人の子どもたちが失踪した当日に撮影されたものであり、「スレンダーマン(The Slender Man)」と称されるものが写っている。関係者は、写真奥の人物の奇形はフィルムの欠陥によるものだと述べている。図書館の火災は、その1週間後に発生した。証拠として押収された実際の写真。

1986年、撮影者メアリー・トーマス、1986年6月13日以来行方不明

 

この投稿を切っ掛けとして、スレンダーマンの噂がインターネット上を駆け巡り、様々な背鰭や尾鰭を付加させながら、さながら悪性ウイルスのようにして蔓延してゆくことになる。

 

顕著なものとして例えば、前述のサムシング・オーフルというウェブサイト・フォーラムの利用者「ce gars」という人物の投稿から発展した『マーブル・ホーネッツ(原題:Marble Hornets)』というタイトルのスレンダーマンに関連した映像作品シリーズが2009年6月からYouTubeに投稿されはじめ、さらなる噂の伝播を巻き起こしている。

 

『マーブル・ホーネッツ』とは、映画学校に通うアレックス・クレイリー (Alex Kralie)という学生が、個人として初めての本格的な映画作品『マーブル・ホーネッツ』製作の為、自身が監督兼カメラマンとなり撮影を進めていたのだが、その際に起こった何らかのトラブルが原因で急遽制作を中断してしまう。そのことを知った友人が彼が今までに撮影したテープを貰い受けて映像の内容を確認してゆくと、そこには・・・、という、いわゆるファウンド・フッテージのスタイルで描かれた物語となっている。

 

ちなみにファウンド・フッテージとはいわゆるモキュメンタリー(Mockumentary)の一種であり、動画やフィルムの撮影者が行方不明になったなどという理由の為に長らく埋もれていた未公開映像が、第三者によって発見され公開に至ったり、あるいはその映像を編集して制作したという設定の作品である。 読んで字のごとく、発見された(found)映像(footage)ということ。

 

同作品はシリーズ全体で実に87本という膨大な映像が投稿されていて、1作品あたりは1分程度のものから長くても15分ほど、合計するとかなりの長さにはなるが、参考までに同作品のイントロダクションを取り上げておく。一部の映像には日本語字幕も付けられているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

 

そしてこの『マーブル・ホーネッツ』は後に、同作品をベースとして、ジェームズ・モラン(James Moran)監督により『都市伝説:長身の怪人』(Always Watching: A Marble Hornets Story)として長編映画化もされている。

 

同作品中では、都市伝説の怪人はスレンダーマンではなく「ザ・オペレーター」(The Operator)という名称で呼ばれているようだが、このザ・オペレーター役を演じているのは、ハビエル・ボテットと双璧をなす怪人俳優のダグ・ジョーンズ(Doug Jones)である。

 

こちらも予告編映像を取り上げておくので、興味のある方はご覧いただきたい。

 

 

都市伝説:長身の怪人 [DVD]

都市伝説:長身の怪人 [DVD]

 

 

スレンダーマン伝説をテーマに掲げた映像作品はこの他にも数多く制作されており、未だにその勢いは衰えてはいないが、 しかし、2014年5月31日、この都市伝説としてのスレンダーマンが、現実の世界に暗い影を落とすことになる。

 

ご存じの方もいるかと思うが、前述の2014年5月31日、米国ウィスコンシン州のワカシャー郡で、ふたりの12歳の少女、アニサ・ワイヤー(Anissa Weier)とモーガン・ガイザー(Morgan Geyser)が、同じく12歳の同級生の少女を地元の森に誘い込み、彼女を刃物で19回に渡ってメッタ刺しにするという事件が発生する。

 

尋問を受けた少女たちは、都市伝説の話題を扱ったウェブサイト「クリーピーパスタ(CreepyPasta)」で閲覧した“スレンダーマン”の手下になるための第一歩として、殺人を犯そうとしたのだと話したという。また少女のひとりは、スレンダーマンが自分を監視しており、彼女の心を読んだり、瞬間移動して自分のもとに来たりするのだと話していたとも言われている。

 

この事件は、犯行後たまたま現場を自転車で通りかかった住民が被害者の少女を発見したため(犯行中に止めに入ったとも言われているが)、結局殺人事件にまでは至らなかった。しかし、ふたりの少女がもし成人として扱われることになれば、最大で懲役65年の刑に処される可能性があるという。

 

そして、同事件をテーマに扱ったドキュメンタリー映画も製作されている。

 

アイリーン・テイラー・ブロッドスキー(Irene Taylor Brodsky)監督による『ビウェア・ザ・スレンダーマン(原題:Beware the Slenderman)』である。

 

予告編映像を取り上げておくので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

 

 

この奥深きスレンダーマン伝説には他にも様々な噂があり、かなり古い時代から語り継がれているものだという神話的あるいは民俗学的な話も肉付けされているらしいが、最後の余談として、あの大人気ゲーム『Minecraft』(マインクラフト)に登場するエンダーマン (Enderman)は、ご存じの方も多いように、このスレンダーマンがモデルになっているということである。

 

というわけで、スレンダーマン話の前置きが異常に長くなってしまったが、最後に初公開となるシルヴェイン・ホワイト監督『スレンダー・マン(原題:Slender Man)』の予告編映像を、ぜひぜひご覧いただきたい。

 

本作品の米国公開は2018年5月18日とのこと、日本での劇場公開は・・・、されないだろうなあ、たぶん。

 

 

 

 

都市伝説:長身の怪人 [DVD]

都市伝説:長身の怪人 [DVD]

 

 

ホラー映画予告編公開は本日か!?シルヴェイン・ホワイト監督『スレンダー・マン(原題:SLENDER MAN)』のポスター・ヴィジュアルが公開!

 

海外ドラマシリーズ殺人願望を持つ少年と人生を変えたい少女の物語、NETFLIX限定配信ドラマシリーズ『このサイテーな世界の終わり(原題:The End of the F**king World)』

 

ホラー映画家の中に何かがいる!マット・エンジェル&スザンヌ・クゥート監督『オープンハウスへようこそ(原題:THE OPEN HOUSE)』

 

映画日記プロジェクターとスクリーンを買って、家で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を観たよ。

 

ホラー映画シルヴェイン・ホワイト監督『スレンダー・マン(原題:SLENDER MAN)』の予告編映像が遂に公開か!?

 

SF映画ダース・ベイダー v.s. オビ=ワン・ケノービのリアル・ファイトを描いた非公式ファン・フィルムのティザー映像!

 

月白貉 - Mujina Tsukishiro