ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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『潜水服は蝶の夢を見る』と『コーヒー&シガレッツ』の間に煙る、何かがいつもと違う土曜日の映画日記。

何かがいつもと違うような気がする土曜日。

 

朝寝坊をして、遅い朝食をとり、洗濯をして、それから二本の映画を観た。

 

プロジェクターを手に入れてから、家で映画を観るという行為の意味が少し変化したように思う。安物のプロジェクターで映画を観るための何かの儀式のような手間のかかる前準備をし、すこしよれたスクリーンに投影される映画の真正面ではなく、融通のきかないプロジェクター依存の諸事情あって部屋の片隅に陣取って観る映画は、幼い頃に父親に連れられて足繁く通った映画館や、学生時代に映画好きの友だちと行った映画館や、そしてまだ若かりし頃、好きな女の子を誘って出かけた映画館や、アメリカのど田舎で行った映画に出てくるような混沌たる映画館を、朧気にだが思い起こさせる。

 

近年、昔ほど映画館に足を運ばなくなっていたぼくだが、ひょんな勢いから手に入れたプロジェクターが、ぼくにとっての映画というものを改めて見つめ直させてくれたような気もする。

 

本日鑑賞した映画は、ジュリアン・シュナーベル(Julian Schnabel)監督による『潜水服は蝶の夢を見る』(Le scaphandre et le papillon)と、ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督による『コーヒー&シガレッツ』(Coffee and Cigarettes)。

 

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前者はソフトを持っていたにも関わらずいままでずっと鑑賞していなかった作品で、後者はソフトを持っていて二度目の鑑賞である。

 

内容についてはここではあまり触れないことにするが、『潜水服は蝶の夢を見る』に関して言えば、マチュー・アマルリック(Mathieu Amalric)好きにはたまらない映画であろう。ぼく自身はそれほど彼の愛好家ではないが、意外と彼の出演作を多く観ている気がする。

 

そしてもうひとり、マックス・フォン・シドー(Max von Sydow)がよい役を演じている。彼についても、ぼくは取り立てて愛好家というわけではないが、比較的好きな俳優ではあり、知らず知らずのうちに出演作を多く鑑賞している。イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)監督による『第七の封印』(Det sjunde inseglet)や『野いちご』(Smultronstället)などをはじめ、ホラー映画愛好家としてはやはりウィリアム・フリードキン(William Friedkin)監督による『エクソシスト』(The Exorcist)、他にも数多くの作品に出演しているが、直近で言えば『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(Star Wars: The Force Awakens)にまでも出演している。

 

 

そして同作品には『コーヒー&シガレッツ』にも出演しているイザック・ド・バンコレ(Isaac de Bankolé)がなかなかインパクトの強い役として出演していて、それを知らずに先にチョイスした本日の鑑賞作品の不思議な関連性を感じたのである。

 

『コーヒー&シガレッツ』に関しては二回目だが、鑑賞したのは随分前だったので、改めて気軽にゆるりと楽しむことが出来た。

 

ほんとうは最初、これもソフトは持っているのにまだ未鑑賞の『ライフ・イズ・ビューティフル』(La vita è bella)を選ぼうと思っていたのだが、一日に二作品もの未鑑賞映画は重いかもしれないと思い、ロベルト・ベニーニ(Roberto Benigni)つながりで『コーヒー&シガレッツ』にしたのであった。

 

そんなこんなで気が付けばもう夕方を通り越して世界は夜へと流れ込み、真っ暗闇に垂れ下がっていた洗濯物を慌てて取り込み、いまこの文章を書いている。

 

そして今日、この刹那、今が夜だということ以外で気が付いたことが、高解像度のモニターで映画を観ている時には、鑑賞後非常に目が疲れたのだが、プロジェクターでスクリーンに投影した映画鑑賞後は、まったくと言っていいいほど目の疲れを感じないところが、なかなか素晴らしいということ。

 

というわけで、あとは映画の余韻を楽しみつつ、シャワーを浴びて、安ワインを飲みながら昨日作ったシチューを食べることくらいしか、本日やるべきことは残っていない。本当は、ヤン・シュヴァンクマイエル(Jan Švankmajer)の最新作であり最後の作品についての話題に触れた記事も書きたかったのだが、それは明日に繰り越そう。

 

やはり、何かがいつもと違うように感じる土曜日だが、もしかするとそれは、毎日思っていることかもしれない。

 

では、皆さんも、愛と平和と自由に満ちた、奇妙なサタデーナイトをお過ごしください。

 

 

 

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