ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ライフル銃で殺された人々が集う呪われた幽霊屋敷、スピエリッグ兄弟の監督による『ウィンチェスター(原題:Winchester)』

かつてぼくは米国のど田舎の町にホームステイしたことがあるのだが、その家には普通に銃が置いてあった。

 

そしてその町のホームセンターでも、普通に銃器のコーナーがあり、工具などと同じように銃がショーケースに並べられていて、普通に売られていた。ずいぶん昔の話だから現状に関しては定かではないが、たぶん今でもあまり状況に変わりはないのではないだろうか。

 

米国の銃の取扱に関してはおそらく州によって法律が異なると思うが、ぼくの滞在した州は比較的容易に銃を手に入れることが出来るようだった。日本では当然、日常生活で銃を目にすることも手にすることも皆無だと言ってよい。警察官が腰に付けて携帯している銃のケースは時々見かけるけれど、ケースの中身の有無や、あるいは日本の警察官が犯罪者に対して路上で銃をぶっ放しているような光景は一度も見たことがない。

 

知り合いに警察官がいるので一度聞いてみたことがあるのだけれど、流石にぶっ放したい時もあるが、たとえ切迫した状況下で必要に駆られて拳銃を使用したとしても責任問題となり、後処理が非常に厄介なのだそうである。だったら携帯する必要などあるのだろうかと思うけれど・・・。

 

ちなみに、一般人ではないその筋の人々は、ロシアや中国などから横に流れてきた銃器を皆さん所持していると噂には聞いたことがあるが、拳銃どころかサブマシンガンなどもザラだと聞いたことがあるが、その手の人々が商店街でサブマシンガンをぶっ放している光景も、残念ながら見たことはない。

 

ぼくが唯一日本で銃器を見たことがあるのは、山で何度か猟師に出会った時だけである。

 

まあそんな風だから、ホームステイ当時、ステイ先のパパに「銃を触ってみたい!」と申し出たのだが、あっさり「駄目だ。」と言われたことを覚えている。

 

昨今のアメリカ映画を観ていると、もうあたりまえに銃が登場するので、感覚的には若干麻痺してしまっているが、銃の用途としては基本的には人あるいは他の生物を殺傷する道具である。ただその造形などを愛好する人々も多く、日本でも観賞用や遊戯用として多数のモデルガンやエアガンが流通している。一部のマニアはその趣味用の銃を改造して殺傷力を持たせているケースもあるらしい。

 

米国でも銃の所持に関しては賛否両論あり、銃規制が大きく叫ばれている一方、全米ライフル協会(National Rifle Association of America、略称:NRA)という銃愛好家による市民団体(事実上の圧力団体)も存在する。ハリウッド俳優の中にも、例えばチャック・ノリス(Chuck Norris)やチャールトン・ヘストン(Charlton Heston)は、同協会に名を連ねている。

 

さて、今回取り上げる最新ホラー映画、マイケル・スピエリッグ(Michael Spierig)とピーター・スピエリッグ(Peter Spierig)のスピエリッグ兄弟の監督による『ウィンチェスター(原題:Winchester)』は、タイトルを見ればおわかりのように、銃というもにのに非常に大きな関わりを持った作品である。

 

まずざっくりと言ってしまうと本作品は、西部開拓時代の米国において、銃ビジネスで大成功を収めた実業家ウィリアム・ワート・ウィンチェスター(William Wirt Winchester)の未亡人、サラ・ウィンチェスター(Sarah Winchester)の物語なのである。

 

 

西部劇愛好家はもちろん御存知の通り、本作品のタイトルにもなっている「ウィンチェスター」とはアメリカ合衆国の銃器メーカーの名称であり、同社の開発したレバーアクションライフルである「M1873レバーアクションライフル」は、コルト社製「SAA」ことコルト・シングル・アクション・アーミー(Colt Single Action Army)と共に「西部を征服した銃」として名を馳せている。

 

ちなみに設立当時の社名はウィンチェスター・リピーティング・アームズ(Winchester Repeating Arms)という。

 

本作品は前述のように、同社の創設者であるオリバー・ウィンチェスター(Oliver Winchester)の二代目ウィリアム・ウィンチェスターの妻サラを取り巻く恐ろしい物語であり、彼女にまつわるあの有名なウィンチェスター・ミステリー・ハウス(Winchester Mystery House)の物語でもあるのだ。

 

このウィンチェスター・ミステリー・ハウスとはなにかということに、少しだけ触れておこう。

 

ウィリアムとの間に生まれた娘と、続いてウィリアム本人までをも亡くしてしまったサラの周囲ではその後も不幸が絶えず、苦悩の挙句に彼女は友人を通じてある霊媒師に助言を求める。するとその霊媒師は彼女にこう告げるのである。

 

「おまえの周囲で巻き起こる災いの源はな、ウィンチェスター銃で殺された犠牲者の霊たちによる、ウィンチェスター家への呪いの力なのだよ。もしその災いから逃れたければ、西部開拓時代に多くの人々がウィンチェスター銃で殺された西に向かい、そこで最後に行き着いた場所に居を構えなさい。そして、荒ぶる霊たちを鎮めるために、出来る限りその屋敷を拡張し続けて、霊の居場所を作ってやるしかないよ。そうしなければ、おまえは死ぬだろう。」

 

この助言によって建てられた家が、後に「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」と呼ばれることになるサラの家、現在アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼにある屋敷なのである。

 

この屋敷に関して細かいことを述べると、さらに話が長くなるので、もし気になった方は近所のウィンチェスター愛好家に尋ねてみていただきたい。

 

さて、本作品で主役のサラ・ウィンチェスターを演じるのは、イギリスの女優デイム・ヘレン・ミレン(Dame Helen Mirren)、実際のサラの写真と比較してみても、なかなかよい雰囲気である。

 

 

以下が実際のサラ・ウィンチェスターの写真だということ。

 

Sarah Winchester

 

というわけで、本作品の最新予告編映像を最後に取り上げておく。興味のある方、西部劇愛好の方、そしてもちろんウィンチェスター愛好家の方は、是非にもご覧いただきたい。

 

米国公開は2018年2月2日とのこと。

 

 

 

 

DENIX(デニックス) ウィンチェスターM92 グレー アメリカ1892年モデル 全長94cm [1068]

DENIX(デニックス) ウィンチェスターM92 グレー アメリカ1892年モデル 全長94cm [1068]

 

 

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