6人の患者の恐怖が繋がってゆく、精神病院を舞台にしたホラーアンソロジー『PATIENT SEVEN』。
病院というものは何かとホラー映画の舞台として描かれがちである。
ぼく個人は昨今、病院という場所にはほとんど足を運んでいないのでそれほど日常の場ではないのだが、しかし多くの人にとっては病院というのはある意味において実に日常的な場所なのかもしれない。そして日常的でありながら同時に非日常的な部分も存在している。さらには人間の生とか死とかいうものが決定的に紐付けられている場所でもある。
つまりホラーというものに必ず付き物の日常と非日常の狭間や生と死というものが明確に存在する最も身近な場所だからこそ、ホラー映画にとっては格好の舞台になるのではないだろうか。
また海外のホラー映画ではいわゆる精神科の隔離された病棟が舞台として描かれているのをよく見かける。まあホラーに限らず様々な作品でよく見かけるね。有名なところだと第64回アカデミー賞で主要5部門を受賞したジョナサン・デミ(Jonathan Demme)の『羊たちの沈黙』(The Silence of the Lambs)でも、劇中の重要な舞台として描かれている。
ちなみに日本では、言葉としてのいわゆる「閉鎖病棟」というものに関して、富士急ハイランドのお化け屋敷「戦慄の閉鎖病棟 迷宮篇」が諸事情により名称変更となったり、 ニンテンドーDSの「DEMENTIUM 閉鎖病棟」というソフトが日本精神科病院協会から販売差し止めなどを求められたりしているそうである。ただ、おそらく同様の舞台を描いた邦画作品でもタイトルに出していないものは普通にけっこう存在するのではないのかと思うが、果たしてどうなのだろうか。ぼくは邦画にはそれほど精通していないのでよくわからない。
というわけで、今回は精神病院を舞台にしたアメリカのホラー作品を取り上げたい。
総合監督をダニー・ドレイブン(Danny Draven)が務める『Patient Seven』というアンソロジー的な作品である。
image source : https://www.facebook.com/patientsevenfilm/
ちなみに本作品は、物語の各セグメントをその他計8人の監督が担っている。
ポール・デイヴィス(Paul Davis)...(The Body)
オマール・オーン・ハウクソン(Ómar Örn Hauksson)...(Undying Love)
ディーン・ヒューイソン(Dean Hewison)...(The Sleeping Plot)
ジョエル・モーガン(Joel Morgan)...(Death Scenes)
ヨハネス・ペルソン(Johannes Persson)...(Evaded)
ニコラス・ピーターソン(Nicholas Peterson)...(The Visitant)
アリンガー・ソロドセン(Erlingur Thoroddsen)...(Banishing)
ラスムス・ワスベルグ(Rasmus Wassberg)...(Evaded)
さて物語であるが、ダニエル・マーカスという著名な精神科医が自身の執筆する新しい本の研究の一部として患者にインタビューを行うために、スプリングバレー精神病院から6人の“危険”な患者を選出する。そしてマーカス博士が各患者へのインタビューを進めていくのだが、彼らの話す恐怖が徐々にひとつに繋がりだすことになる。そしてその背後にはある一人の患者が浮かび上がってくるのだが・・・、というもの。
あらすじだけでもなかなか興味深いものがある。
image source : https://www.facebook.com/patientsevenfilm/
そして出演者の中には個人的にはチョコチョコと気になる俳優が顔を見せている。少しだけあげると、ダニエル・マーカス博士役をデヴィッド・クローネンバーグ(David Paul Cronenberg)の『スキャナーズ』でもお馴染みのマイケル・アイアンサイド(Michael Ironside)が演じている。
またぼくの大好きなダグ・ジョーンズ(Doug Jones)がやはり人間ではない・・・役で出演していたり、『ゲーム・オブ・スローンズ』(Game of Thrones)のシオン・グレイジョイ役で脚光を浴びているアルフィー・アレン(Alfie Evan Allen)も出演している。
また本作品は2016年10月にすでに公開を開始しており、VODなどで視聴が可能なようであるが、日本語字幕が付いているものが配信されているかどうかは不明、たぶんまだないと思う。詳しくはコチラの公式Facebookにて確認して頂きたい。
というわけで、本作品の予告編がもちろん公開されているので、興味のある方は本編の品定めとして是非にもご覧いただきたい。
映画:人間とオークが共存する別軸の現代世界、デヴィッド・エアー監督によるNETFLIX限定作品『BRIGHT』。
TVドラマ:2017年5月21日放送の『ツイン・ピークス』新シーズンを待ち侘びながら、“赤い部屋”っぽいものを試作してみる。
映画:『エイリアン2』のビル・パクストンが61歳で死去、“Game over, man. Game over...”。
映画:地下倉庫には何かが潜んでいる、スウェーデンの物置短編ホラー『STORAGE』。
映画:2月24日は“ツイン・ピークスの日”、新シーズンのポスター・ヴィジュアルも公開されたよ。
映画:2016年度トライベッカ映画祭オーディエンス賞受賞のゾンビ映画、ロッド・ブラックハースト監督の『HERE ALONE』。
映画:『遊星からの物体X』の不完全な集合写真、ロケ地は南極じゃなくてカナダのブリティッシュコロンビア州だよ。
月白貉