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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

ラース・フォン・トリアーの最新作『THE HOUSE THAT JACK BUILT』が、いろいろと気になる話。

映画

飛行機恐怖症としても知られるデンマークを代表する映画監督ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)。

 

飛行機だけに留まらず、その他にも様々な精神的な疾患を抱えている彼は、「基本的には人生におけるすべてが怖い、映画作りだけは違うけれどね」と発言しているそうである。“基本的に人生におけるすべてが怖い”というのは、ぼくも大いに納得であり同意する。

 

さて、2016年頃から話題に上がっている彼の最新作『The House That Jack Built』であるが、ついにその初のイメージ写真が公開されて注目を集めている。

 

本作品は1970年代のアメリカを舞台とした物語だそうで、主人公は12年間に渡り殺人を繰り返している連続殺人鬼、タイトルにもあるジャックという人物、このジャックをマット・ディロンが演じている。

 

そして現時点で発表されている共演者は、ヴァージという人物を演じるブルーノ・ガンツ。先日ぼくは『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(Der Untergang、Downfall)という作品を鑑賞したのだが、その作品の中でブルーノ・ガンツが演じていたアドルフ・ヒトラーは、まさに本人そのものだという印象でなかなか見応えがあった。

 

さて、本作品の撮影に際してラース・フォン・トリアーによって提供された写真というのが、以下のものである。

 

The House That Jack Built

image source : Berlinale: Lars von Trier’s ‘House’ Welcomes Distributors (EXCLUSIVE) | TrustNordisk

 

VARIETY 」の情報によれば、彼はこの写真に関して以下のようなコメントを語っているということである。

 

“On the occasion of the shooting of ‘The House That Jack Built,’ I have made an evocative photo with a cinematic reference,”

 

つまり、『The House That Jack Built』の撮影の時にさ、映画的な参考作品に喚起された写真を撮ったんだよ、というようなことかな。

 

さてこの写真の、死神が持っているみたいな大鎌を肩に抱えた男が、果たしてマット・ディロン演じる殺人鬼ジャックなのかどうかは不明なのだが・・・、ただラース・フォン・トリアーがコメントで触れた“参考作品”というのは、彼と同じデンマーク出身の映画監督、カール・テオドア・ドライヤー(Carl Theodor Dreyer)による1932年公開のフランス・ドイツ合同製作映画『吸血鬼』(Vampyr)ではないのかと言われている。どうやらラース・フォン・トリアーは同監督を非常に敬愛しているらしく、カール・テオドア・ドライヤーの作品群に随分と影響を受けているそうである。

 

そして以下が参考となっていると思われる『吸血鬼』における該当シーンである。

 

f:id:geppakumujina:20170211162038j:plain

image source : Vampyr (1932) - © 1932 - Tobis Filmkunst

 

ほぼそのままと言っても過言ではない。

 

この『吸血鬼』は、極めてアート的要素の強い映画だと言われており、光と影が織りなす幻夢のようなその作風が、長年に渡って非常に高く評価されている作品でもある。ラース・フォン・トリアー作品におけるヴィジュアル表現には、この『吸血鬼』をはじめとするカール・テオドア・ドライヤー作品の大いなる影響があるのかもしれない。

 

同様に『The House That Jack Built』にもその影響は及んでおり、あるいはオマージュ的な要素が隠し味として随所に散りばめられているという暗示なのかもしれない。

 

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さてもう一点、本作品において個人的に非常に気になっていることがある。この『The House That Jack Built』というタイトルであるが、どこかで聞き覚えのある方もいるのではないだろうか。そう、これはマザー・グースの、つまり英国の伝承童謡の中に登場するいわゆる“つみあげうた”、『ジャックが建てた家』と同名なのである。

 

この“つみあげうた”というのは、歌の中で語られる出来事が、常ににその前の古い出来事を含んでいるという表現で語られてゆくため、歌の中で新しい出来事が語られる度に、歌の一節が、どんどんと長くなっていってしまうという言葉遊び的なものである。

 

つまり、はじまりは、「これはジャックが建てた家」、すると次は、「これはジャックが建てた家にある麦芽」、そして、「これはジャックが建てた家にある麦芽を食べたネズミ」というわけ。参考までにこんな動画があったので取り上げておく。

 

 

ある意味では、無限に続いてゆくお話、まあ童謡なので、適当なところで終わりはやって来る・・・、無限だったら恐ろしいことになるからね。

 

そして気になっているのは、この童謡の内容と本作品の内容が、何か密接に関わっているのではないのかということ。

 

とまあそんなわけで、本作品の公開はまだまだ先の2018年を予定しているそうなので、今後の動向に目を向けてゆきたいと思う。まあ途中経過よりも本編が観られればいいけどね。

 

では最後に、カール・テオドア・ドライヤー監督『吸血鬼』の予告編をどうぞ。

 

 

 

 

 

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月白貉

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