ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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吸血鬼伝承に魅了された青年を描くモダン・ヴァンパイア・ストーリー、2016年度カンヌ国際映画祭公式セレクション作品『THE TRANSFIGURATION』。

「吸血鬼(ヴァンパイア)は実在すると思いますか?」というアンケート調べを、日本の文部科学省ではまだ行っていないようであるが、もしぼくがそのようなアンケートに回答する機会を得たとしたら、もちろん「はい」と答えるに違いない。

 

吸血鬼というのは皆さんもよくご存知の、血を糧とする例のアレである。

 

ただし吸血鬼を知らないという方については、確か以下の記事あたりで少し詳しく触れているので、興味があればぜひお読みいただきたい。本当はここで吸血鬼の話を展開したいところであるが、脇道に逸れている内に日が暮れて夜も更けて、それこそ吸血鬼に襲われてしまうので、ここでは割愛させて頂く。

 

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さて、ぼくがなぜ吸血鬼が実在すると思うかについてはこれまた長くなるのでやはり割愛するが、簡単に言えば盲信とでもいうところである。さらに以下の記事で述べているような“チスイサル”説などを勝手に妄想していたりもする。

 

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一方で過去の歴史の中には、ぼくの信じている吸血鬼とはちょっと趣を異にした、別の意味での“吸血鬼”が存在する。まあ正確に言うと異名として吸血鬼と呼ばれるようになった、いわゆる人間の凶悪犯罪者などである。

 

例えばデュッセルドルフの吸血鬼(Der Vampir von Düsseldorf)と呼ばれたペーター・キュルテン(Peter Kürten)とか、フリッツ・ハールマン(Friedrich "Fritz" Heinrich Karl Haarmann)とかジョン・ヘイグ(John George Haigh)とかね。まあ彼らはいずれも1800年代後半から1900年代前半にウロウロしていた人々であるが。

 

しかし近年にも実は吸血鬼的な事件は起きており、それは上記の3人のような単なる連続殺人とは少し違っている。

 

2011年にロイターが報じた話によると、米国テキサス州ガルベストンにおいて、自分を吸血鬼だと信じたライル・モンロー・ベンズリーという19歳の青年が近所の家に押し入り、そこにいた女性に噛み付いて血を吸おうとしたという事件が起きている。

 

幸い女性に怪我はなかったようで、 その青年は住居侵入窃盗の疑いで逮捕されたということだが、地元警察によれば、彼は自分が500年生きている吸血鬼だと主張したという。

 

米国ではその事件の数年前から吸血鬼をテーマにした映画やTVドラマなどが人気を博しており、そのような吸血鬼をテーマにしたポップカルチャーが若者に少なからず影響を与えているのではないのかと見られているそうである。

 

なかなか興味深い話ではある。

 

というわけで、吸血鬼の話をすっ飛ばして本題に行こうとしたがやはり前置きが長くなってしまったので、そろそろ本題へ。

 

現在米国テキサス州オースティンで行われている2017年度の“サウス・バイ・サウスウエスト”(South by Southwest)、通称SXSWで公開予定の映画作品の中に、上記の青年が起こした吸血鬼事件に似通ったテーマの作品が存在するので、取り上げてみたい。

 

マイケル・オシェイ(Michael O'Shea)監督による『The Transfiguration』(ザ・トランスフィギュレーション)である。

 

このタイトルになっている言葉には変身とか変貌とかいう意味があるが、聖書で言うところの“山上におけるキリストの変容”という意味もあるらしい。

 

さて本作品のストーリーラインであるが、吸血鬼伝承に心を奪われた黒人の青年ミロと、彼に出会ったソフィーという女性の物語のようである。

 

The Transfiguration

image source : The Transfiguration

 

ちなみに本作品は2016年度カンヌ国際映画祭の公式セレクションにもなっているようなのだが、前述のSXSWにおける2017年3月後半の公開に先駆けて、予告編が公開されている。個人的にはなかなか注目の作品なので、もし興味のある方は是非にもご覧いただきたい。

 

最後にひとつだけ言っておくが、ぼく個人は吸血鬼伝承には非常に興味があり、吸血鬼の存在は信じているが、自分が500歳の吸血鬼だと信じて夜な夜な人を襲ったりしているわけではないので、念のため。

 

本作品の主人公ミロは・・・、という物語である。

 

では、どうぞ。

 

 

 

 

 

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月白貉