ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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夏のお盆よりもさらにコワい、ホラー映画染みた秋のハロウィン対策。

気付けばすでに2017年も7月の半ば、俗に言う夏である。

 

夏と言えば、人それぞれだとは思うが、海や山という異界へレジャーと称して足を踏み入れがちな季節である。

 

警視庁の発表によれば、年間の行方不明者数の約九割が夏に集中しているとかしていないとか言われており、異界レジャーとの関連が指摘されている。

 

そしてわざわざこちらから異界へ赴かなくとも、あと1ヶ月もすれば「お盆」という日本国最大の異界デイが訪れる。この期間には、海からとも山からともなく、過去に死んだ人間の霊をはじめ、異界に属する様々な化け物どもが「ワッショイワッショイ」と叫びながら人間どもを狩りに来ることでも知られている。

 

夏に怪談話をするという恒例行事は、一般的に言われているような「怖い話をして涼しくなる」ためではなく、異界が身近となる夏に起こった怪異を話すことによって注意を喚起するためにはじまったとされている。肝試しなどというイベントも同様で、あれは例えれば異界を想定した疑似訓練、いわば防災訓練のようなものである。しかし昨今ではその意味合いが曖昧となっており、本当の異界との境界で肝試しを行ってしまい、そのまま異界に引きずり込まれるというケースが多発している。

 

ところで、前述のお盆が日本最大の異界デイだった戦前とは大いに事情が変わった昨今、恐怖のお盆を過ぎた秋の終わりにも、西洋の影響を受けた年内最大級の異界デイが口を開けるようになってしまった。

 

皆さんもよくご存知の「ハロウィン」である。

 

こちらの異界デイも現在では本来の意味合いが薄れてしまい、こと日本においては単なるコスプレ記念日だと思われているケースが多いが、お盆同様に、異界の者どもが「How are you? How are you?」と叫びながら、やはり人間を狩りに来る日である。

 

というわけで今回は、目前に迫り来る恐怖のお盆はすっ飛ばして、西洋異界デイである恐怖のハロウィンの話題を取り上げてみたい。

 

このハロウィンの起源には諸説あるが、昔ヨーロッパのある貴族の屋敷に毎年10月31日になると化け物どもがこぞって押しかけてきて屋敷の門の前で騒ぐので、化け物を鎮めるために門の外に豪華な食事を並べて振る舞うようになったことがはじまりだと言われている。この食事とは一説には、化け物への生贄としての人間だったというような人身御供的な儀式だとも言われている。

 

その名残として、昨今の正式なハロウィンの儀式となっているのが、子供たちが化け物の扮装をして近所の家々を訪れて、その家主を驚かせると、家主が子供たちにお菓子を振る舞って、黙らせて家に帰らせるという例のイベントの存在である。

 

つまりハロウィンのメイン会場は自宅あるいは自宅の近所であり、さらに化け物の扮装をするのはあくまで子供たちであって、大人は自宅で守りを固めるべき立場にある日なのである。

 

そして、この進化系として、家にやって来る化け物(子供)たちに食べ物をくれてやるのではなく、逆に驚かせて追い返してしまえカルチャーのようなものが存在し、海外ではそのためのグッズがハロウィンの目玉商品となっている。その代表的なものと言えばご存知のように、カボチャをくり抜いたジャック・オー・ランタンである。元々はカボチャではなくカブだったそうだが、まあそれはさておき、これはウィル・オー・ザ・ウィスプの象徴物だと言われている。

 

つまり対化け物用に、家にも化け物を召喚して門の前に立たせて対抗するという、目には目を作戦と言える。あるいは化け物どもが苦手とする特殊な悪霊を召喚するということかも知れない。

 

実はこのようなケースは西洋だけではなく日本にも存在する。秋祭りの時期になると生贄を要求する化け物がいて、逆らうと凶作になるというので人々は毎年処女を化け物に捧げるのである。しかしある時期から、化け物に生贄をくれてやるのではなく、化け物の天敵に当たる別の化け物を召喚して、化け物を黙らせるという手段を採るようになる。この化け物はそれぞれ狒々と山犬だという話がある。

 

ハロウィンの起源も収穫祭だと言われているので、さらに古い起源は同様の何かにあるのかもしれない。

 

というわけで、前置きが意味不明にやたらと長引いたが、遂に本題、ハロウィン・グッズで知られる「スピリット(SPIRIT)」から、2017年ハロウィンに向けたおすすめ最新グッズをご紹介したい。話の流れとして、庭において子供たちを怖がらせる、目には目をグッズ特集である。よりわかりやすく、動画でご覧いただきたい。

 

『スィッティング・スケア・クラウン』(Sitting Scare Clown)、2016年のハロウィン直前に全世界に伝播して巻き起こった不気味なクラウン目撃騒動が記憶に新しいが、欧米でのホラーにクラウンは欠かせないものである。お値段149.99ドル。

 

 

 『フォギング・ベースメント・ドアーズ』(Fogging Basement Doors)、何かが這い出てくる地下室のドアである。米国のホラー映画において、地下室には大抵何かがいる。お値段179.99ドル。

 

 

『ハイ-ヴォルテージ・フェンスド・ゾンビ』(Hi-Voltage Fenced In Zombie)、高圧電流のフェンスに引っかかっているゾンビである。怖いは怖いが・・・、趣旨がよくわからない。お値段229.99ドル。

 

 

『リム・リッパー』、狼男だね。玄関に置いてあったら確かに迫力はあるが、草むらとか森の中のほうが威力を発揮しそうである。お値段199.99ドル。

 

 

お気に召したものはあっただろうか?

 

2017年のハロウィンまであと三ヶ月強、今年のハロウィンは、 ぜひこのような門前グッズで自宅の守りを固めて、邪悪なガキどもを撃退する楽しみを味わって欲しい。以下のスピリットのウェブサイトには、他にもたくさんの門前グッズがあるので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

Halloween Animatronics | Animated Props and Decor - Spirithalloween.com

 

そして、ハロウィンまで待ちきれないという方は、直近の異界デイである恐怖のお盆に帰省してくる家族や、あるいは帰省してくる先祖の霊たちを迎えるサプライズとして、玄関に設置してみてはいかがだろうか。 

 

では最後に、ハロウィンと言えばこの映画、ジョン・カーペンター(John Howard Carpenter)監督『ハロウィン』(Halloween)の予告編で、と言いたいところだが、やや趣向を変えて、ロブ・ゾンビ(Rob Zombie)監督によるリメイク版『ハロウィン』の続編、『ハロウィンII』(Halloween II)の予告編で〆ることにしよう。

 

 

 

 

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