ウサギの穴の暗い秘密、ケヴィン・フィリップス監督『スーパー・ダーク・タイムズ(原題:Super Dark Times)』
ぼくは、10代の頃の記憶、特に中学高校時代の記憶というものを、あまり覚えていない。
小学校を卒業後、諸事情あって地元の中学ではなく遠方にある中学に通うことになったぼくには、その頃まともに友だちと呼べる存在がほとんどいなかった。
中学に進学してからは、おのずとそれまでの地元の友だちとの交流も一切なくなり、通っていた学校があまりにも遠すぎたために、そちらでの友だちもほぼ出来なかった。もちろんそんな風だから、彼女なんてものだっていなかった。
学校までの道程は、電車やバスなどを乗り継いで少なくとも二時間はかかった。つまり往復で四時間以上、本来なら自転車で10分ほどの学校に通うはずだった。そして、小学生の頃に好きだった女の子と一緒の学校に通うはずだった。
でも現実には、そうはならなかった。
だから、ただただ黙々と学校と家との往復だったという記憶くらいしか、ぼくには残っていない。学校帰りや休日に、友だちとアホみたいに遊び回ったり語り合ったり、好きな女の子に心をときめかせたりすることのない10代を過ごしていた。
そういう10代の頃のやや屈折した経験が、ほとんど記憶には残っていないものの、今のぼくを確実に形成している。いまでも群れることを極度に嫌うし、何事に対してもまず自分ひとりで納得のゆくまで考えて結論を出す。友だちだってほとんどいない。まあ本質的に友だちと呼べる存在なんて、誰しもほとんどいないのかもしれないけれど。
そんなぼくの10代が果たして不幸だったのかと言えば、それに関してはなんとも言えない。そんな過去を悔やみ恨んだりもするが、いまさら変えられない過去は、いずれにせよ変えられないのだ。
というわけで、今回は米国のティーンネイジャーを題材にした作品を取り上げてみたい。
ケヴィン・フィリップス(Kevin Phillips)監督による『スーパー・ダーク・タイムズ(原題:Super Dark Times)』である。
脚本を担うのは、ベン・コリンズ(Ben Collins)とルーク・ピオトロフスキー(Luke Piotrowski)、彼らは当ウェブログでは触れていないが、グレッグ・ビショップ(Gregg Bishop)監督による『サイレン(原題:SiREN)』の脚本で知られている。
余談だが、この『サイレン』は、2012年(日本では2013年)に米国で公開された『V/H/S シンドローム』(V/H/S)というアンソロジー作品の中の一篇、デヴィッド・ブルックナー(David Bruckner)監督の『アマチュア・ナイト』(Amateur Night)をベースに製作されているホラー作品である。
さて話を戻して、本作品のストーリーラインだが、1990年代のニューヨーク州郊外を舞台とした、10代の若者たちの物語である。
中心となる登場人物は、オーウェン・キャンベル(Owen Campbell) 演じるザックと、チャーリー・ターハン(Charlie Tahan)演じるジョシュ。この二人の親友に起こったある出来事が、彼らの生活に影を落としてゆくというものらしい。
幼い頃からアメリカ映画に傾倒していたぼくが夢見た10代の生活っていうのは、どちらかと言えばアメリカ映画で描かれているティーンネイジャーの生活なんだよね。少なくとも日本の学園ドラマみたいなものには、あまり影響を受けなかったような気がする。だから本作品のようなちょっとクラシックなアメリカを舞台に設定した作品には、ちょっと心惹かれてしまう。
というわけで、本作品の予告編が公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
本作品は2017年9月29日に米国の一部の劇場公開と、そして同年10月3日にVODでのリリースが予定されている。
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