ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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二十二時も過ぎた、真夏の夜の日記(ひのしるし)。

この数日、食後の赤ワインのアテは、ヨーグルト。

テーブルに並べたそれを今、じっとしばらく眺めていて、どす黒い赤と、ぼやけた白色が、やけに陰惨かつ卑猥だと感じ、同時にもしこの光景を誰かが目にしたら、その見知らぬ誰かもそう思うかもしれないとふと思って、可笑しくなって吹き出して後ろにひっくり返って、その拍子にテーブルに右足のスネをぶつけ、やや負傷して細い血を流している真夏の淡い夜。

 

雑多なセミがやけにうるさい。

 

クソほど巨大な苦しみの塊を、自分の小さな光で、鋭く尖った"マイ"聖剣エクスカリバーみたいなもので、切り刻み、ある時は押しつぶしながら前に進む日々。

 

けれど、切れないものは切れない。エクスカリバーでも倒せない最高位のモンスターみたいなものがウヨウヨいる。

 

なんだかそのわけのわからない理不尽さに負けそうになるが、結構強いので負けねえ。

 

でも、もう十分だろ、もう耐え抜いただろ。

 

どこかにゆきたい。遠くの、どこかに、澄んだ空気が漂う場所に、ただただ、ゆきたい。

 

装備品はすべて捨てる。エクスカリバーも、村正も、ロンギヌスの槍も、もういらない。

 

武器がなくても、鎧も盾もなくてもいい場所が、きっとあるはずさ。

 

二十二時を過ぎて書き出したこの日記は、二十三時になる前に書き終えなければいけない。書き終えなければ、死ぬ。

 

いつだってぼくは、自分にクレイジーなルールを課す。

 

そういうことが、やけに楽しい。

 

こんちくしょ〜。