ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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プロジェクターとスクリーンを買って、家で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を観たよ。

プロジェクターとスクリーンを買った。

 

大切なことだからもう一回言うが、プロジェクターとスクリーンを買っちまった。

 

つまりそれが意味することは、巷でよく聞く、あの家の中が映画館になるという、俗にホームシアターと呼ばれる夢にまで見た憧れが、ついに我が家で現実のものとなったのである。

 

(ファンファーレと観衆の拍手)

 

今までの人生の中でも、最大級の出来事であるに違いない、たぶん。

 

少しだけ具体的に話してみよう。

 

プロジェクターもスクリーンも外国メーカーのもので、スクリーンは75インチある。お値段はあわせてほぼ1万円。本当はもう少しするのだが、プロジェクターのコンディションが多少悪かったことに対して交渉の末、安くしてもらった。

 

当初はプロジェクターだけ買って、白い壁をスクリーンに見立てればなんとかなるだろうよ、おめえよ、と考えていたが、プロジェクターを買うというちょっとした勢いに乗って、ついうっかりスクリーンも買ってしまったのである。

 

さて使ってみての話だが、プロジェクターの中でも最安値の部類のものだけあって、細かな難はいろいろある。

 

プロジェクター自体の距離でしか投影サイズを変えられないので、部屋の中を目一杯使わなくてはならない上に、上下の調整や自分が座る鑑賞場所(自分の影が映ってしまったり家具の影が映り込んだり)の調整などに思いの外時間がかかる。

 

本体の微妙な傾きの影響を補正するための台形の歪み補正機能もあるが、ほとんどおまけ程度しか調整できないので、ある程度水平で投影しなければならない。

 

部屋の中をかなり真っ暗闇にしなければ、きれいに投影することが出来ない。反対に言うと、漆黒の闇にすればかなりきれいに見えるが、高性能のディスプレイに目がなれてしまっていると、映像自体はかなり荒く感じる。タイトルなどの文字が、ディスクかプレイヤーの不具合かと思うくらいやけにガジガジして見える。

 

ファンがなかなかにうるさい。作品中で始まりから終わりまで銃撃戦やカーチェイスや爆発が巻き起こる映画とか、声のでかいおっさんたちがずっと喋っている映画とか、悲鳴だらけの映画とかならまったく気にならないが、沈黙の素晴らしさを描いたような映画に関しては入り込むのが難しいかもしれない。

 

そしてスクリーンだが、折りたためる形式のもので、開封した時にはガッツリとそしてウネウネ折り目がついていた。最初はそのまま使ってみたが、完全に折り目の付いた波打つ映像になってしまって、カメラがゆっくりパンするシーンで酔いそうになったので、アイロンをかけた。

 

今までの人生でアイロンなるものを一切使ったことがなかったぼくだが、ここにきてはじめてアイロンを長時間使うという貴重な経験をした。

 

でまあ、いろいろあるけど、家の中で75インチのスクリーンで映画が観られるというのは、映画愛好家としては非常に喜ぶべきことであり、感動した。「わぁ」って声が漏れちゃった。

 

もちろん、ブルジョワジーな映画愛好家は、毎回毎回家具を動かしたり、自分が部屋の端っこに陣取って座ったり、投影の歪みを毎回補正したり、フォーカスを都度都度微調整したり、ファンの音に動じない悟りを開いたり、そういったことをしなくてもいいような、もっと高級な製品を購入して、映画専用の部屋を用意して、スクリーンも天井から自動で下がってきたりして、音響設備も完璧で、といった1万円では到底たどり着けないホームシアター世界を楽しんでいるに違いない。

 

でもぼくは、鑑賞前にやけに手間のかかる、そしてお世辞にも完璧とはいい難い、この1万円ホームシアターでも十分満足だと思った。

 

日中は部屋のカーテンを閉めても、そのわずかな隙間から大いに日差しの群れが襲い来る。そうするとスクリーンの映像は死んでしまう。だから、鑑賞空間を日差しの猛攻から守るために、窓一面に黒いゴミ袋を張り巡らせなければならないという、圧倒的な手間もかかる。

 

それでも、お家で映画が観られるのだがら、そんなことは何の苦労でもないじゃあないかと。

 

とまあそんなわけで、1万円ホームシアター記念に、テンションが上って4本も映画を鑑賞してしまった。

 

何を観たのかと言えば、ギャレス・エドワーズ(Gareth James Edwards)監督の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(Rogue One: A Star Wars Story)、グリームル・ハゥコーナルソン(Grimur Hakonarson)監督の『ひつじ村の兄弟』(Hrutar、Rams)、S・クレイグ・ザラー(S. Craig Zahler)監督の『トマホーク ガンマンvs食人族』(Bone Tomahawk)、スコット・シャーマー(Scott Schirmer)監督の『FOUND ファウンド』(Found)である。

 

ひつじ村の兄弟 [DVD]

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FOUND ファウンド [DVD]

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本当はこのすべての作品に関して触れたかったのだが、ちょっとした用事が勃発したので、今日はここまでにさせていただく。

 

作品に関してはいずれ触れてみたいが、基本的に鑑賞後のレビューなるものが嫌いなので、高確率で触れないかもしれない。

 

ちなみにだが、今回のチョイスに失敗はひとつもなかった。すべてなかなかよい作品であったよ。

 

ホームシアターなんて自分には天上世界のものだと思っている金のない映画愛好家諸君、1万円くらいあれば、その至極の夢は実現するよ。まあ1万円だって大金だが、日々の食費を削ったり、光熱費をおさえたりして貯金してさ、1万円たまったらその夢につぎ込んでみてくれたまえ。

 

 

 

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