ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

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メキシコのサブカルチャーを詰め込んだ犯罪ドラマ、ライアン・プロウズ監督『ローライフ(原題:Lowlife)』

人身売買とか臓器売買とか武器密売とか、映画の中ではよく目にしたり耳にしたりするが、実際にそれがどんな世界なのかということを、もちろんぼくはリアルには知らない。

 

なぜ知らないかと言えば、当然自分が関わったことがないからであり、あるいはそういうことを生業にしている知人がいないからである。

 

しかしそういった事柄は今の世界の裏に確実に存在することであり、裏とは言っても表裏一体という言葉が示す通り、当たり前に自分のすぐ身近に存在し得る事柄でもあるということは、なんとなく理解している。

 

もちろん日本にだってそれらの事柄に関わっている人々は山のようにいるはずである。そして結局は、それ以外のほとんどの人々も自覚がないだけで、間接的には関わりを持っているはずである。結局世界はそうやって成り立っている。

 

例えば、ずいぶん前に観たドキュメンタリーにこんな内容の作品があった。アフリカのコンゴで残虐な行為を繰り返している武装グループが、コンゴでの鉱物の採掘と輸出に関わっており、まさにその鉱物がスズやコルタンに加工され、携帯電話に使われているというのである。この内容を含む国連の報告書を読んだデンマークのジャーナリストが、コンゴ山奥の採掘現場を取材し、その現実を大手携帯電話メーカーであるノキアに問いただすのだが、ジャーナリストの問い合わせに対してノキア側は、担当者が不在だとか終日会議だとかという嘘の言い訳を使い、まったく取材には応じず、最終的にやっとつかまった広報担当者は、「難しいが、改善に努力します。」という言葉を吐き出す。

 

毎日のように落盤が起き死者が続出する坑道での労働を強いられている若者たち。その周辺で繰り返される虐殺とレイプ。自分が使っている携帯電話が、そんな現実の上に成り立っていると自覚して使っている人は皆無に等しいだろう。このドキュメンタリーが作られた時点で、そのような背景を抱える鉱物を使っていないと明言している携帯電話メーカーは、世界には存在しないという。そしてそれは携帯電話に限ったことではないはずである。薄利多売で販売されている衣料や食品、現在日本で売られている物の多くには、確実にそういった背景が隠されているはずである。

 

密輸業者がテロ組織に武器を密輸する傍らで、同じ業者が政府やNGOなどの依頼を受け、紛争地帯に暮らす人々に支援物資を届けているという現実もあるという話を聞いたこともある。

 

もう一度言うが、結局、世界はそうやって成り立っているのである。誰が悪人で誰が善人だとか、どこが危険でどこが安全だとかいうことではなく、それが人間が創り出した世界なのである。

 

というわけで話が脱線し出したので本題に移ろう。

 

今回取り上げる作品はメキシコのサブカルチャーをバックに描かれた犯罪ドラマ、ライアン・プロウズ(Ryan Prows)監督による『ローライフ(原題:Lowlife)』である。

 

 

タイトルの「Lowlife」とは、「いかがわしい人々のいる社会層」とか「下層階級」とかいう意味だそうだが、物語は、ルチャドールやら麻薬中毒者やら臓器密売業者やらがごった返す日常を描いた作品のようである。

 

ブラック・コメディ的な要素も多分に描かれているようだが、作品を象徴する幾つかのイメージをご覧いただきたい。

 

 

 

 

 

出演者としては、ルチャドールのエル・モンストロ役を演じるリカルド・アラム・ザラテ(Ricardo Adam Zarate)。

 

 

 

臓器密売業者テディ・“ベア”・ヘインズ役を演じるマーク・バーナム(Mark Burnham)。

 

 

 クリスタル役のニッキー・ミッチョー(Nicki Micheaux)

 

 

エル・モンストロの妻ケイリー役を演じるサンタナ・デンプシー(Santana Dempsey) などが出演している。写真は本作品での妊婦役の撮影前だね

 

 

というわけで最後に、本作品のクールな予告編が公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

 

 

 

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