ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ヴァンパイア狩りと言えばトランシルヴァニア!ドラゴス・ブリガ監督『ザ・ワンダラーズ(原題:The Wanderers)』

世間には、ある程度大人になった際の生きるための生業として様々な職業というものがあり、子供の頃には、例えば小学生の頃には、「将来何になりたいの?」などという、今考えれば若干無意味なようにも感じる問いをよく投げかけられたものである。

 

ぼくもある程度大人となり、これまでに様々な仕事を経験してきたが、そのすべてが本当にやりたいことばかりだったかと言えば、そのほとんどはやりたくないことに塗れていたように思う。

 

まあ世の中には一部、無理矢理にやりたくもない生業など持たなくとも生きて行けるような裕福な環境に生を受けて、何の不自由なく呑気に優雅に暮らして死んでゆく最上層ブルジョワジーな人々もいるかもしれないが、ぼくはそうではないのである。

 

かのアレイスター・クロウリー(Aleister Crowley)もそんな最上層ブルジョワジーのひとりだが、話が道をそれて異次元に迷い込むので、その話はまた別の機会に。

 

ちなみにぼくは子供の頃、漫画家になりたくて、一生懸命好きな漫画家の模写や、あるいは自作の漫画を描いていた頃があったのだが、「そんなことしてる暇があるなら受験勉強しろ!」という度重なる親のエゴなブチ切れによりその夢はぶっ潰され、「何が受験じゃ!アホか!」と思って勉強もまったくする気にならなかったので、両軸が潰れて絵も上達せず学業もひどい成績だったが、もうひとつの映画監督になりたいという夢は、いまだ淡い光ながらも継続的に携帯中である。

 

ただしかし、もし今、「将来何になりたいの?」と聞かれたなら、ぼくはその問いに対してあるいくつかの答えを握りしめている。

 

そのひとつとして、「ヴァンパイア・ハンターになりたい!」というものがあり、日本的な言葉で言い換えれば、それは「吸血鬼を狩る」職業志望である。

 

皆さんも御存知の通り、西洋だけに留まらず日本にも吸血鬼なる人間とは別種族の生物が存在していて、大抵は人間を装って、あるいは擬態して人間社会に混じって普通に生活していると言われている。しかしながら彼らの糧は新鮮な血液であり、人間もその捕食の対象とされているため、日本で起こっている殺人事件や原因不明の死亡事故あるいは失踪事件などの約87%が、吸血鬼に絡んだものだとの統計も発表されている。このため日本の行政機関の中には警察とは別軸として吸血鬼対策を主軸として活動する機関が存在するが、あまり公にはされていない。またこれとは別に民間にも、この吸血鬼の対策を主な活動とする組織が存在し、その実働部隊の精鋭としての狩人、つまり俗称としてのヴァンパイア・ハンターという職種が設けられているが、正式な存在や職種名は伏せられている。

 

何を隠そうぼくは昨今、そのヴァンパイア・ハンターになることを、『ラ・ラ・ランド』(La La Land)ばりに夢見ている。

 

余談だが、昨今の小学生が将来なりたい職業ランキングで上位に食い込んでいるのはこのヴァンパイア・ハンターではなくYouTuberだそうである。まあ実に時代を反映した答えではあるが、あれさあ、せめて言い方を「映像作家になりたい」とか、そういう上品な言い方にすればいいのに、と時々切に思う。さらに、もっとヴァンパイア・ハンターに憧れる小学生が出てきて欲しいとも思っている。

 

まあそれはさておき、今回はぼくの夢の一つとして存在するヴァンパイア・ハンターが登場する映画作品を取り上げてみたい。

 

ラゴス・ブリガ(Dragos Buliga)監督による『ザ・ワンダラーズ(原題:The Wanderers)』である。

 

 

さて、本作品でヴァンパイア・ハンターのルイ・ムードン役を演じるのは、アーマンド・アサンテ(Armand Anthony Assante)、そしてジャーナリストのロバート・ランダウ役をリオル・アシュケナージ(Lior Ashkenazi)が演じている。さらに作品の肝となる元凶、詳細は不明だがたぶんヴァンパイア役を演じるのはオアナ・マルク(Oana Marcu)である。

 

 

アーマンド・アサンテの出演作はそれほど多く観たことのないぼくだが、なぜか頻繁に見かけるような錯覚に、いつも顔を観るたびに陥る。

 

さて本作品の物語の舞台は、かのトランシルヴァニアということであるが、トランシルヴァニアと言えばやはりワラキア公ヴラド3世の話題がよく取り上げられる。これはヴラド・ツェペシュとかヴラド・ドラキュラなどのあだ名で称されることの多い、ご存知ドラキュラ伯爵である。

 

ウェブログでは、ぼくが吸血鬼愛好家であることを原因として度々ヴァンパイア映画や、あるいはヴァンパイアの話題に触れがちであるが、日本で構築されている「ドラキュラ=ヴァンパイア」という図式は、厳密に言うとやや語弊がある。この話をしだすとプチ長くなるので、当ウェブログ内でその話題に軽く触れた際の記事を以下に記すので、興味のある方はご覧いただきたい。

 

関連記事私は死してもこの世に蘇り、暗黒の力と結束して復讐することを誓う! -『ドラキュラ』(Bram Stoker's Dracula)【前編】

 

というわけで、本題の話はだいぶ薄味になってしまったが、最後に本作品の予告編映像を取り上げておくので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

ちなみに予告編の見所だが、アーマンド・アサンテがステーキを食っているシーンである!とだけ、付け加えておこう。

 

 

 

 

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