『パラダイム』(John Carpenter's Prince of Darkness)
ぼくはジョン・カーペンターの映画が大好きである。
小学生の頃にはじめてみた観た「遊星からの物体X」は衝撃的で、その後もジョン・カーペンターの作品だとは知らずに多くの映画を幼いころに経験していた。
「ザ・フォッグ」だったり、「ハロウィン」だったり、「ゴースト・ハンターズ」だったり、「ゼイリブ」だったり、どれもすっごく好きな映画で何度も何度も繰り返し観た。
その後も彼の映画はいろいろ観てきたのだが、まだ観ていない映画もいくつかある。そのひとつを今日はじめて観た。
「パラダイム」である、原題は「Prince of Darkness」、正確には「John Carpenter's Prince of Darkness」。
彼の映画のタイトルにはたいてい最初に「John Carpenter's」と入っているのだ、そういうところも好き。
原題のとおりに、キリスト教に関連した悪魔復活の話なのだが、邦題は「パラダイム」となっている。
なぜそんな邦題にしたのかは、命名者の意図を知らないのでわからないが、本編を観てみるとなんとなく意図はわかる。でも酷い邦題だと思う、ぼく個人的には、まったく納得のいかない邦題である。「プリンス・オブ・ダークネス」とか、二百五十歩譲っても「暗闇からの手」なんてふうにするべきだと思う。パラダイムって響きは謎めいていてよいのだけれど、実際に映画を観てみると、その邦題には異を唱えたい気持ちになった。
パラダイムとはトーマス・クーンによって提唱された概念で、
ものの見方や捉え方を表す言葉、現在では多くの分野で使われているらしいが、狭義には自然科学に対してのみの概念にたいする言葉であり、以下の様なことだそうだ。
他の対立競争する科学研究活動を棄てて、それを支持しようとする特に熱心なグループを集めるほど、前例のないユニークさを持っている。
その業績を中心として再構成された研究グループに解決すべきあらゆる種類の問題を提示してくれる。
ここではあえて映画の内容を話すことは避けるのだが、 映画を観てみると、なるほどねとは思う。
けれど、原題が物語の核を語っているのに対して、邦題はまったく方向違いのことを指し示している。ジョン・カーペンターが語りたがっているのは、プリンス・オブ・ダークネスなんだよなあと思う。
そういうことは重要なのに、日本人はくだらない放題を付けたがる。
話がそれてしまったのだけれど、ようは、いい邦題もあるけれど、クソみたいな邦題もあるってことだよ、悪魔諸君。
でも映画はすごく面白いですよ!!
月白貉