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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

幼い樹木

小説 小説-吸血鬼

「時間を遡ります。」

 

街灯がすべて消え、漆黒に包まれている渋谷の宮益坂を小走りに登りながら、浦島さんはその計画を話しだした。

 

「時間を遡り、感染の根源となっている一族のものに先手を打ちます。もはやその方法しか手はありません。一族のものを根絶やしにすることはもちろんそれだけでは不可能ですが、少なくとも今現在日本の首都に向けられている鋭い刃の矛先は、おそらく排除可能だと思います。残念ながら百パーセント私が断言できるものではありません。しかし半ば崩壊寸前のこの東京を元に戻すには、その方法以外にはおそらくありえないでしょう。いかがでしょうか白酒さん、奥の手とはそういうことですよ。」

 

ぼくは足を止めた。

 

「時間を遡る!?」

 

同じく歩みを止めた浦島さんは、依然として静かな笑顔を絶やしてはいない。

 

「もちろんです。」

 

「そんなことが出来るはずがない!そんなことはぼくにだってわかりますよ、それが出来るんだったら、最初からやったらいいじゃないですか!まさかこの状況で冗談を言ってるわけではないですよね?」

 

「歩きながら話しましょう、ここで立ち止まるのは少しばかり危険です、それと白酒さん、声はなるべく抑えて話してください。」

 

ぼくは「すみません・・・。」と言って、再びすごいスピードで歩き出した浦島さんの背中を追った。

 

「白酒さん、あなた吸血鬼は信じるのに、タイムマシンは信じることが出来ませんか?

 

吸血鬼は映画や小説だけに描かれている絵空事ではない。それはすでにご存知かと思います。残念ながらそのことを知る人は少ない、少ないどころの話ではないでしょう。それは近代になってからの人間への洗脳と、それに伴った情報操作が度を越し始めたからです。それ以前とそれ以後の世界では、まさに異世界のようなことになっています。一部の支配層があまりにも力を持ちすぎた結果です。特に日本では、その洗脳レベルが半端なものではありません。まともな意思を持って生きている人々など、私から言わせてもらえば皆無に近い・・・。まあそれはまたいずれお話するとして、そろそろ目的の場所につきますよ、あの下です、あそこに私をバックアップするグループの施設が存在します。」

 

それはある芸術家が子どもたちのシンボルとして制作した、たくさんの「顔」を持つオブジェクトだった。

 

人間はその数だけ、それぞれ、その姿のまま、誇らしくなければならない。

 

浦島さんは厳かな呪文を唱えるようにその言葉を口ずさんだ。

 

「あのオブジェクトを創りあげた芸術家はそう言ったそうです。私はもう、生まれたままの姿は失った。そのことについてはもう・・・しかし、今の姿でも誇らしくあるには、まだ間に合うでしょう、白酒さん?」

 

 

 

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月白貉

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