ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

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アメニモマケズ・・・

基本的にぼくは、天気予報というものをめったなことがないかぎりチェックしない。その日の気分や空気の匂いや、蛙の噂で天気を予想することにしている。

 

数年前のある夏の日、その日のぼくの予想は関東地方の降水確率0パーセント。当然の如く雨に何の対策もなく外出した。しかしぼくの個人的な予想とは反して、午後からはひどい雨となった。だけど傘がなければ雨に濡れて帰ればいいだけの話。夏の日の夕暮れに雨にうたれてびしょ濡れになりながら、テクテクと家路に向かうのもなかなか悪いものでもない。

 

まあ環境の悪化によってもたらされた酸性雨が、ぼくの頭皮に悪影響を及ぼし、髪の毛が薄くなることに対してはいささかの不安があるけれど・・・。

 

とそんなことを考えながら駅の入り口で空を見上げていると、傘をさした一人の若い女性が「入る?」って言ってにっこりと笑いかけてきた。

 

アメニモマケズ・・・

 

ドラマや小説ではよく目にする場面だけれど、実際に自分がそのシチュエーションに組み込まれてみると、何だか不思議な気持ちのするものだ。結局ぼくは少し照れくさそうにコクリと頷き、「ありがとうございます。」と言ってその女性の傘に入れてもらった。

 

見ず知らずの女性と、ひとつの傘で雨をしのぎながらゆっくりと歩くのってひどく緊張する。緊張しすぎて、傘をさしながらそのまま空へ上がっていくんじゃないかと思った。なんだか少し楽しく、そして浮遊色を含んだ緊張感。たぶんこの緊張感をテーマに短編の小説が書けるだろう。

 

タイトルは「雨の日に見知らぬ女性と歩調を合わせて歩くことについての短い考察」。

 

ちなみに蛙の噂は天気を予想する上ではなくてはならないものだと思う今日この頃です。

 

 

 

天気予報の恋人(1) [VHS]

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カンガルー日和 (講談社文庫)

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月白貉