原初の男

東京都渋谷区、午前七時十三分 「あなたに、あの男のことをお話する必要があります。 少なくともこの騒動を収めるまでに一度は、少なくとも一度は、私たちが相対せざるを得ない存在です。」 地下へと向かう古びたエレベーターの中は、狭くて薄暗くて、何よりも不快極まりない湿度を帯びていた。時折二人の頭上で切れかかっ…