みどりいろの記憶

ぼくは、生まれた時から最近までの記憶がまったくなかった。 覚えているのはちょうど一年前までの思い出だけ。中野区にある小さなワンルームのアパートで、紫色のセーターを着た女の子と一緒に寄り添って、古いSF映画を観ていた。その前のことは何も、なにひとつ覚えていない。 その映画は、荒廃後の地球を描いていた。人…