乗らなかったロープウェイと、登らなかった山の話。

それはもう、三十年ほど前の話になるだろうか。 子供の頃というのは、日常的な生活の中で不可思議なものを見たり、奇妙な気配を感じたりといったことがしばしばあるのは、誰しも同じだと思う。 その理由には様々あるだろうが、大人に比べて感覚が研ぎ澄まされているのかもしれないし、既存の余計な知識には左右されずに世…