ほんとうに恐い怪談を書くのは、ほんとうはほんとうに難しい話。

花火は好きだが、花火大会なんてもので、わざわざ怒涛の如き人混みに洗われながら、もみくちゃになりながら、空に散る花火なんか見ても、ひとつも楽しいものだとも、美しいものだとも思えない。 「あの橋のね、欄干にこうやって、ちょいと肘なんか掛けて見るとね、随分良く見えますよ。」 ある湖で行われた花火大会の夜、…