おとめ山

ぼくと浦島さんは新宿区にある小さな森の中にいた。 池袋での一族の襲撃からもう6時間ほど過ぎた真夜中だった。 根元から捻りちぎられた浦島さんの左腕をぼくはさっきまで必死で抱きかかえてたが、逃げる途中で浦島さんはぼくの抱える自分の左腕に右手を添えて、いたずらっぽい笑みを浮かべてぼくを見てから、なぜかその右…