ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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精神異常のサンタが街にやってくる!ポール・タンター監督『ワンス・アポン・ア・タイム・アット・クリスマス(原題:Once Upon a Time at Christmas)』

2017年も残すところあとわずかとなり、なんだか知らないけれどこの時期になると、町中の至る所に変な飾りに塗れたモミの木が生えたり、赤いコートを身に纏ってズタ袋を引きずりデカイ鹿のような動物を散歩させている白ひげの老人を見かけるようになる。

 

俗に言う「クリスマス」の予兆であろう。

 

ぼくは基本的には無宗教な人間なので、こと大人になってからは、そういったキリスト教の祭事の日に特別に何かをすることはほとんどなくなった。子供の頃は、ある意味洗脳的に、「クリスマスはパーティーをしてプレゼントをもらえる日」というようなトチ狂った考え方を植え付けられていたが、ある時期に、脳に差し込まれたその洗脳針を自ら引き抜き、今はもう解放されている。

 

しかしいまでも日本では、宗教云々に関係なくクリスマスの日になると町中で乱痴気騒ぎとなり、冷静に考えるとちょっと異常な気もする。まあ別にどうでもいいことだが、一度そういうことを客観的に冷静に眺めてみることも、是非おすすめしておこう。

 

さて、クリスマと言えば、とある謎の人物が夜な夜な家に忍び込んでくると言われる日でもある。前述にもあるが、赤いコートに赤いパンツに赤い帽子を身にまとい(赤ではない場合もあるが)、白ひげをたくわえ、白いズタ袋を引きずり、巨大トナカイを何匹も引き連れ、そしてソリに乗った外国の老人、名前をサンタクロースというらしい。

 

この都市伝説的な怪人物だが、残念ながらぼくは一度も遭遇したことはない。

 

このサンタクロースがなぜクリスマスの前夜に家に忍び込んでくるかと言えば、一説には、一日一善を心がけている行いの良い子どもたちにプレゼントを届けに来るのだそうである。

 

つまりぼくが子供の頃に一度もこのサンタクロースに遭遇しなかったということは、ぼくが一日一善などクソ食らえと思っていた極悪な子供だったからかもしれない、ちきしょう。

 

しかしこの「プレゼントを届けに来る説」以外にも、「子供の夢を喰いに来る説」や「子供を誘拐しにくる説」、あるいは「子供狩りに来る説」など、実は裏にはやはりクリスマスの怪人説が多数存在する。その恐怖の存在を隠蔽する情報操作として、プレゼント説が世に知れ渡っているのである。

 

そんなこともあり、米国の映画の中には、数々の都市伝説的怪人サンタクロースをテーマにしたホラー作品が存在する。

 

例えば、ルイス・ジャクソン(Lewis Jackson)監督による『サンタが殺しにやってくる』(Christmas Evil)や、チャールズ・E・セリアー・Jr(Charles E. Sellier Jr.)監督による『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』(Silent Night, Deadly Night)などは鑑賞した方も多いかもしれない。

 

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サンタが殺しにやってくる [DVD]

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この手の作品は他にも山ほどあり、ホラー映画の細分化ジャンル、サンタクロース・ホラーとして成立している。

 

というわけで、今回はそんな恐ろしいサンタクロース・ホラーの最新作品を取り上げてみたい。

 

ポール・タンター(Paul Tanter)監督による『ワンス・アポン・ア・タイム・アット・クリスマス(原題:Once Upon a Time at Christmas)』である。

 

 

物語はと言えば、まあポスターヴィジュアルからしてコテコテのキラー・サンタクロース話だということは明白であるが、クリスマスを間近に控えて雪で孤立してしまったとある街に、精神病患者のサンタクロース夫婦がやってくる、というものらしい。

 

要約すると、「Santa Claus Is Coming to Town !」ということだが、特徴としてはやってくるのがサンタクロース単独ではなく、ミセス・クロース同伴という点であろう。

 

このミセス・クロースというのは呼び名のごとくサンタクロースの妻であるが、行動を共にしている姿はぼくが知る限りではレアである。ちなみにこのミセス・クロースは魔女だという説もあるらしい。

 

さて、サンタクロース役を演じるのはサイモン・フィリップスSimon Phillips)。そして相方のミセス・クロース役をセイラ・ヴィー(Sayla Vee)ことセイラ・デ・ゲイダ(Sayla de Goede)が演じている。

 

 

セイラの演じるミセス・クロースのヴィジュアルがなかなかよい。彼女のようなちょっとウィッチ系の顔立ちは個人的には結構好きである。凶器がボウガンという点も、なかなかカッコよい。

 

というわけで、2017年のクリスマス前夜には、あなたの街にもこんなサンタクロース夫妻がやってくることを願いつつ、興味のある方は予告編映像を御覧いただきたい。

 

あっ、クリスマス・イヴに恋人や夫婦でホラーなサンタのコスプレをして、ハロウィンばりに近隣の家に押し掛けてケーキや金品をねだるっていう過ごし方も、なかなかオツでよいね。

 

本作品は2017年12月12日にDVDならびにVODにてリリース予定とのこと。 

 

 

 

 

 

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