アメリカ先住民族に伝わる邪悪な存在、クリスチャン・ラーセンとブロック・マンウェルの共同監督による『ロア（原題：LORE）』

アメリカ映画の中には、超常的なモノに対抗する存在としてネイティブ・アメリカンの血を受け継ぐ人々がよく登場する気がする。

「ネイティブ・アメリカン」というのは、まあ説明は不要かもしれないが、現在の北米大陸に元々暮らしていた先住民族のことを指し示す名称である。日本では他にも同様の民族のことを指して「インディアン」とも呼ぶこともあるが、厳密に言うとこのふたつには大きな違いがある。そのあたりを細く話し出すと長くなるので今回は割愛させて頂くが。

例えば、ブライアン・ギブソン（Brian Gibson）監督による『ポルターガイスト2』（Poltergeist II: The Other Side）には、ウィル・サンプソン（Will Sampson）演じるテイラーという名の強力な祈祷師が登場しており、この祈祷師はネイティブ・アメリカンあるいはインディアンという設定である。

ウィル・サンプソンと言えば、ミロス・フォアマン（Miloš Forman）監督の『カッコーの巣の上で』（One Flew Over the Cuckoo's Nest）でも寡黙なネイティブ・アメリカン役を演じている。

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またジョン・マクティアナン（John McTiernan）監督による『プレデター』（Predator）には、ソニー・ランダム（Sonny Landham）演じるビリー・ソールという名のキャラクターが登場しており、ビリーはネイティブ・アメリカンでスー族の末裔という設定である。まあこのビリーのケースに関しては相手が超常的な存在ではなく異星人だったので、野性的な感覚で光学迷彩を見破りはしたが、ものの見事にあっさり殺されてしまうのがちょっと悲しい。ただ劇中では対超常要員として捉えることもできる。

プレデター繋がりで言えば、スティーヴン・ホプキンス（Stephen Hopkins）監督による『プレデター2』（Predator 2）にも対超常要員が登場しており、こちらはネイティブ・アメリカンではなく黒人なので話はやや逸れるが、カルヴィン・ロックハート（Calvin Lockhart）演じるブードゥー教の聖者キング・ウィリーである。キング・ウィリーも相手が異星人だったために、やはりあっさり殺されてしまうが、登場時のインパクトは凄まじく強い。

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ネイティブ・アメリカンにせよ黒人にせよ、どちらもアメリカでの迫害の歴史に深く名を刻む民族である。そしてそのような民族の血を受け継ぐ人々が、アメリカ映画の中で超常的なモノに対抗できる特殊な力を持っている存在として描かれていることには、少なからず強いメッセージ性あるいは意味が込められているのではないだろうか。

というわけで今回取り上げるのは、そんなネイティブ・アメリカン絡みのホラー作品、クリスチャン・ラーセン（Christian Larsen）とブロック・マンウェル（Brock Manwill）の共同監督による『ロア（原題：Lore）』である。

5 days until our premiere. Get tickets before it's too late https://t.co/29SPlPFffM pic.twitter.com/DmUVJrqqQL
— Folklore Films (@LoreFilm2017) 2017年6月1日

タイトルにある「Lore」とは「伝承」という意味合いを持っている。

ストーリーラインは、森にキャンプに出かけて消息を絶った息子を探し出そうと立ち上がる夫婦の物語である。そしてこの夫婦の案内役として、その土地に精通した先住民族、つまりネイティブ・アメリカンが登場するのである。

See @VictorGage @Sean_Mah and @EricRoberts in Lore. World premiere 6/6/17 9:30pm TCL Chinese Theaters https://t.co/NpzMEeiuh4 pic.twitter.com/fg4GMRk4g9
— Folklore Films (@LoreFilm2017) 2017年5月29日