ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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歯を磨いてからが、魔術の初級時間ですよ日記。

いまさっき、歯を磨いた。

寝る前のための儀式として、歯を磨いたけれど、いまからスコッチソーダを飲む。

 

だって日記を書くし。まだ、眠りもしないし、死にもしねーし、たぶん。

 

焼き立てのクッキーとか食べたいけれど、流石にいまからクッキーを焼く根性はない。あるいはかりかりに焼いたちょっと焦げ付いたトーストにワイルドベリーのジャムなんか乗っけてかじりたいけれど、パンもジャムもない。

 

だから、スコッチソーダと、余力があれば、知り合いの農学博士に頂いたおいしいチーズを切ろうかなあ。けれど、そのチーズはちょっと高級なやつで、濃いピンク色の蝋に包まれている。スライムベスみたいなヴィジュアルをしている。前にも頂いて食べたけれど、すごく美味しい。ただ今食べるべきではない。安っぽいブレンドのスコッチソーダでは、相手に不足が有りすぎる。

 

と、いま一口目を飲んだら、スコッチが濃すぎたし、テーブルの上をわけのわからないデカイ甲虫が走り回っている。

 

勢いで迂闊にも手で潰す。手で潰すには、大きすぎる甲虫だった。

 

若干、後悔する。いろいろテーブルの上が大変になる。

 

この日記は、多少実況感を持たせている。いや、持たせているのではなく、歯を磨いて、スコッチソーダを飲みはじめているから、もう魔術の初歩なのである。

 

今日の出来事の要点を、書こう。

 

城跡が残る山に登った。天守閣跡から臨む景色はなかなかのものだった。その景色の先に海が見えたので、そこまで歩いていこうと決意する。六キロか七キロくらいだったかな。

 

とある温泉地にある海岸にたどり着く。とんでもなく海が綺麗だった。シーズンにしては人は少なかったけれど、おそらくはそれがデフォルト、だから海が綺麗なのだろう。海を見てから温泉街を歩くが、街の規模の割にソープランドだらけだった。そして真っ昼間から、いかつい黒服のおじさんたちが、客引きをしていた。浅草の吉原ほどではないにせよ、ちょっとあれを思い出す光景だった。周囲を歩いているのは、水着姿の半裸の幼い子どもを連れた家族ばかりなのに、あんな時間帯に需要があるんだろうか。

 

ちょっと怖かった。

 

話が魔術とか関係なくなって眠くなってきて、目をこすった手の匂いを嗅いだら、小魚を焼いた匂いがする。

 

初級です。

 

おやすみ。