ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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唐突に現れた、ギネスなニッキー日記。

今日の最高気温が一体何度あったのか知らないが、めっぽう暑いことは間違いなかった。

 

47度くらいは軽くあったんじゃなかろうか。

 

スーパーマーケットに買い物にゆくために、いつもよく通る道を歩いていると、西洋人風の、あくまで風なので西洋人なのか東洋人なのか、あるいは実は日本人なのかはわからなかったが、そういう外見の自転車に乗った見知らぬ人に突然話しかけられた。

 

「あれっ、ジャン!?すっごい久しぶりじゃない!」

 

その人は流暢な日本語を話したので日本人なのかもしれないが、圧倒的に西洋人にしか見えなかったし、「お前誰やねん!」と叫んで無意識に相手の頭を叩いてしまうほど、まったく見覚えのない人だった。

 

突然の意味不明な出来事にややうろたえてしまったぼくの様子を察知した彼は名前を名乗った。

 

「ニックだよ!久しぶりだよね?」

 

フルネームを聞くのは忘れてしまったのだが、名前がニックというくらいだから純粋な日本人ではないはずである。日本語が流暢なのは、彼がニック西村とかニック川崎とかいう名前のハーフであり、外見は西洋人だが日本で生まれ育ったという可能性が考えられる。

 

さらにぼくのことを誰と間違えているのか知らないが「ジャン」と呼んでいて、ジャンというくらいだからフランス人の名前ではないかと思うのだが、ぼくはそれほど無国籍な外見はしていないという自覚はある。

 

ジャンというニックネームも持っていない。

 

ぼくがあっけにとられて「えっ?」と言って固まっていると、ニックはおもむろに腕にはめた腕時計に目をやり、「やべえ、遅刻する!電話するからさ、またギネス飲みに行こうよ!」といって風のように走り去っていってしまった。

 

もしかすると彼はアイルランド系かも知れないが、ニックとギネスを飲んだ記憶はない。

 

ただ、ずいぶん昔アメリカに行った際にホームステイした家の長男がニックという名前だったことを思い出した。けれどぼくが知るニックの顔ではなかったし、ニックはいまアフリカにいるはずだった。そして当時ニックは小学生だったので、一緒にギネスを飲んだことなどない。

 

しばらくしてから新手のオレオレ詐欺だったのかもと思いゾッとしたが、詐欺にしては何の要求もなく自分から去っていったので、その仮説は成り立たないかもしれない。

 

じゃあ、あいつ一体誰やねん?

 

もしかしたら重厚な前フリのある、やはり詐欺で、今晩あたりニックから「アイリッシュパブでギネス飲んでたらマフィアのスーツにギネスこぼしちゃってさ・・・、オーダーメイドの高級スーツらしくて100万円も請求されたんだけど、ぜんぜん手持ちが足りなくてさ、すぐ払わないと殺されちゃうんだよ、ジャン10万だけでもいいから貸してくれないかな?」とでもいう半泣きの電話がかかってくるのだろうか?

 

「アイ・アム・ニック」詐欺にご注意下さい。

 

とか言いつつ、実はぼく自身の記憶障害で・・・、知り合いのニックのことを忘れてしまったのだろうか?

 

この日記の内容も、書いてアップした直後に忘れるかもしれない。

 

そういうのって恐怖だなあ。

 

誰か助けて下さい。

唐突に現れた、ニッキーな日記。

 

 

 

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月白貉