ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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イナゴの月明かりの夜にカルト教団が呼び出す悪魔、チャド・アーチボールド監督の『THE HERETICS』。

悪魔とはいったいなんなのだろうか。

 

日本では一般的に悪魔と聞くと、なんとなくキリスト教における悪の存在というイメージが強いと思う。けれど悪魔というものは、キリスト教に限らず様々な宗教に見られる概念であり、遥か昔は宗教云々ではなく、もっと普遍的なものだったはずである。

 

例えば現在でも“悪魔崇拝”という言葉があって、それは現在の社会的イメージとしては邪悪な反社会的組織のように聞こえるけれども、宗教の原始状態について言えば、いわゆる悪魔崇拝というものが圧倒的に“神性”崇拝に先行するものだと言われている。つまり恐怖というものが宗教的崇拝の誘因であり、悪魔崇拝あるいは悪魔信仰というものが宗教の進化における最初の段階だと考えられるわけである。

 

悪を恐れるからね。

 

善良だけれどまったく不可知な“善神”よりも、直接的に身に降りかかる危険や恐怖を、つまりそれを悪魔だと認識し恐れ敬い崇めるようになるということである。

 

例えば病気とか雷とか嵐とか、そういった人間の手に負えないものが恐れるべき悪魔として信仰の対象になってゆく。

 

そして現代に残る宗教の中でも、より原始的な土着の信仰から生まれているものに関しては、そういった意味での悪魔崇拝的な考え方を、まあカタチは変わっているにせよおそらくは大いに持っているはずである。

 

しかし道徳的に善良な神を信仰することが当たり前だと考えるようになった人々から見ると、時にそれは悪魔という異常で邪悪な側面としてのみだけが際立ってしまい、単なる邪悪な存在としての悪魔崇拝という見え方になっている状況というのも多いのではないだろうか。例えばかつてキリスト教会が大いに弾圧した“魔術”とか、ブゥードゥー教に代表されるようなシンクレティズムなどにあまりよいイメージが伴わないのは、その背後に原始宗教としての悪魔崇拝というものが見え隠れするからだろうと思う。

 

まあ現代では、そういった悪魔崇拝をより邪悪な側面でのみ特化させてしまった新興宗教のようなものもたくさん存在すると言われている・・・。

 

ちなみにアメリカには“悪魔教会”なるものもあって、最大の悪魔崇拝組織だと言われているのだが、この教会が唱える悪魔崇拝、いわゆるサタニズムという主義はまたちょっと違った概念になってくるのだけれど、余計な悪魔話が長くなるので、それはまた別の機会に。

 

というわけで、今回取り上げるのは、もちろん悪魔崇拝をテーマにした怖い映画である、ホラーだね。

 

チャド・アーチボールド(Chad Archibald)監督による『The Heretics』という作品。

 

この作品は2017年3月22日からカナダのトロントで行われる“Canadian Film Fest”においてワールドプレミアとなるようなのだが、その公開に先駆けて初のティザー映像が公開されている。

 

物語は、悪名高いカルト集団に誘拐された若い女性が、ある特別な月の光の夜に彼らの儀式に捧げられてしまう。しかし・・・、というところまでにしておこう。ちなみにタイトルの意味は“異端者たち”とでもいうものかな。

 

The Heretics

image source : THE HERETICS

 

ティザー映像はおそらく、その物語の冒頭部分となっている。

 

興味のある方は、ぜひご覧いただきたい。

 

 

 

 

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