ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ポートピア連続殺人事件 #2 狂王の試練場 


「ねえねえ、隣の店の電気まだ点いてるよ、大丈夫なの・・・?」

 

「いや、あれは防犯灯だって、もう午前0時を過ぎてるんだよ、コンビニじゃないんだから、あんな店なんか今の時間やってるわけないだろ。」

 

「だって通報されたら犯罪者じゃん、やだよ、警察に捕まって指紋とか取られるの、前科モン、やだからさ。」

 

「大丈夫だよ、こんなとこ入ったって警察なんかに捕まるわけ無いよ。みんな入ってるし。この動画あげたらさ、めっちゃアクセスアップするからさ。」

 

「ホンマかいな、修はさ、すぐ夢見ちゃうから。こんなのいっこアップしたくらいで、たいしたアクセスなんかないよ、絶対ない。」

 

「いやいやいや、彩花さん頼みますよ、乗り気だったでしょ。ユーチューバーの第一歩、それに企画が斬新でしょ。心霊スポットとか、そんなありふれたアホみたいなのじゃないし、もっと壮大な企画でしょ。」

 

「つ〜か、本当なのかな、その情報・・・。それにさ、こんな気味悪い廃墟・・・完全に心霊スポットだよ、この時点でちょ〜恐いもん、絶対恐い以外無いでしょ。だってあたしネットで調べたよ、完全に心霊スポットだって書いてあったよ・・・、アホかっちゅ〜ねん。」

 

「いや・・・まずは行ってみようよ、せっかくここまで来たし、まあなかったらなかったでさ、それでもこの動画おもしろいと思うしさ!」

 

「ないんならおもしろくないだろ、バカか!行くのやだよお・・・すっごく恐いもん、この時点で無理だよ・・・。」

 

「もういくよ、いい?いくよ、じゃあ彩花さんカメラ持って、じゃあまず導入から撮るから、いい?大丈夫?行くよ?」

 

「うん・・・わかった、じゃあ撮るよ。いい?撮り出していいの?」

 

「オッケー、じゃあ、さん、にー、・・・、みなさん、こんばんは!今回から始まりましたアーバンレジェンドボーイ、進行役の修です!今日はなんと、あの噂の・・・」

 

都内某所、ある廃墟と化した洋館の地下に、広大な地下迷宮があるという噂があった。その洋館のかつての所有者の名前はダニエル・トレボー、戦前に日本で布教活動を行っていた宣教師である。トレボーはある日、精神に異常をきたして、自宅の地下に深い穴を掘り出す。理由は誰も知らない。しかしその行為が数年に渡った時、トレボーの屋敷の地下には広大で深遠なる地下迷宮が出来上がっていた。トレボーはその後、屋敷の床に隠してある地下への入り口を内側から強固に封鎖して、自らはその地下迷宮の最深部にある小さな部屋で、目覚めることのない深い眠りへと落ちてゆく。

 

坂上修はある日、とあるインターネット上の掲示板で気になる書き込みを見つける。

 

〇〇区〇〇の、戦前に宣教師が住んでいた、今は廃墟になっている古い洋館の地下に、広大な地下迷宮があるぞ。そこが何を隠そう、あのウィザードリィの原型になっている地下迷宮らしい。それだけじゃない、その地下迷宮に入ってすぐの壁には、あの有名な言葉が、真っ赤な文字で書きなぐられているらしいぞ!誰か、見た奴いるか???写真希望。見たら死ぬかもな。

 

もんすたあ さぷらいずど ゆう

 

 

ポートピア連続殺人事件

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オホーツクに消ゆ

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月白貉