瞬間フォトグラフィー
きょう、忙しく走り回っている最中、ふと足をとめて空を仰いだ。
空がきれいだった。
大好きな誰かにそのことを伝えたくて、その瞬間を写真におさめた。
ぼくは写真の基礎やらなんやらをほとんど学んではいない。そういうことは大事だと思うけれど、半ばどうでもいいとも思っている。ずっと昔、大学の時に買ったリコーのアナログ一眼レフで、ただ好きなものを毎日撮っていた。毎日毎日。その頃には、大学の先生やら何人かの人に撮った写真をほめられたこともある。でもそのカメラは、その当時好きだった女の子と二人で歩いている時に、女の子に意識がいきすぎて落っことしてしまい、レンズにヒビが入った。それからずいぶん使わないまま、つい最近捨ててしまった。
写真って技術だったり手法だったり、あるいはカメラの性能なんかもあると思うけれど、ぼくはあまりそこには楽しみを見出せない。どんなにオンボロカメラでも、ぼくの、自分だけの風景は切り取れる。
それはカメラが切り取っているわけではなく、ぼくが切り取っているからだ。
月白貉