ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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雨空グランドマザー

まだおなかはすかないけれど、歌を歌いながら夕ごはんの支度をしよう。

 

水色の歌を歌おう、カエルが好んで歌うような、水色の歌を。

 

きのう実家の庭では、雨を喜んでたくさんのカエルが鳴いていた。父に、「庭にいっぱいカエルがいるんだね。」と言うと、「ああそうなんだよ、なんだか知らないけれど、いっぱいいるんだよ。」と言って、雨空を仰いだ。父が仰いだ視線の先には、祖母が楽しそうに飛んでいた。灰色の雲を大きな筆でかき消しながら、縦横無尽に飛び回っていた。

 

そしてその一時だけ、雨がピタリと降り止んだ。

 

雨空グランドマザー

 

 

 

 

月白貉