目白ブルースカイ
もう夜の6時なのに、空はまだ明るく青く。
ぼくはこの部屋から眺める空が好きだ。
この窓から眺める空が好きだ。
何度も写真や映像に、この感覚をおさめようとしたけれど、到底出来なかった。この感覚を知っているのは、ぼくと、おそらくはもうひとりだけ。
何の変哲もないものを、ただ何の変哲もなく素晴らしいと思うこと。
ぼくが見た空を、きみは知っているはず。誰も知らない空だってことを、知っているはずだよ。時々、雲に覆われ。時々、鳥が横切り、雪が降り。でもたいていは、青く突き抜ける空。
ぼくは、いまは、ずっとただそれだけを眺めて、息を詰まらせる。
詰まった息が吐き出せなくとも、空が青ければ、それでもいいと。
もう夜の6時15分なのに、いまだ空は、なお明るく青く。
月白貉