ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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カラムラサキハツ(Russula omiensis)- 松江城マッシュルームマップ -

寒い寒い冬を終えて、やっと微かに春の息吹を感じ始めてきた昨今、いかがお過ごしだろうか。 

 

梅の花が咲いて散り、桜の花が咲いたと思ったらもうすでに散り始めているが、きのこはと言えば、まさにこれから。 

 

冬の間はすっかり息を潜めていたきのこも、ふと気が付けば、徐々にではあるが地表に姿を現しつつある。もちろんある種類のきのこは冬季にもちらほら見かけることがあったが、やはりシーズンはこれから、梅雨から秋にかけての時期であろう。

 

ではまあぼちぼち、今年も始めていってみますかね。

 

というわけで、気が付けば二年目に突入した松江城マッシュルームマップ、今回のハンティングきのこは「カラムラサキハツ」である。

 

カラムラサキハツ Russula omiensis [ 松江城マッシュルームマップ ]

 

ベニタケ科ベニタケ属のきのこで、学名を「Russula omiensis」、漢字で書くと「辛紫初」である。

 

きのこの数がまだ少ない早春に、広葉樹林、シイやカシの林に発生するきのこで、傘の径はだいたい4cmから5cm、傘の色は個体差もあるが暗赤紫色から赤ワインのような色をしている。写真のものは何かに傘を食べられているのでややハゲた部分があるが、色としては眼に美しい部類であろう。柄もヒダも白色であり、さらにはなかなかの美白である。

 

このきのこは発生時期に特徴があり、今のような早春やあるいは晩秋、きのことしては季節外れな時期に発生する。

 

ではこのきのこは食用になるのかと言えば、名前にもある通り実に強めの辛味があるため、おそらく食用には向かないであろう。実際にぼくもかじって味を確かめてみたが、辛味大根をさらにアグレッシブにしたようなビリビリとしびれる強い辛味が、かじってしばらくしてから怒涛のごとく押し寄せてきた。

 

千鳥のノブ風に言うなれば、「辛味のクセがすごい!」わけである。

 

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さて、ここで注目していただきたいことは、まだきのこ初心者であった一年目に比べると、きのこ歴二年ともなれば、かじってきのこの種類を判別するという高度なテクニックさえ駆使できるようにまで成長したわけであり、まだ右も左もわからなかったきのこ一年生とはわけが違うのである。

 

口の中で噛み砕かれたカラムラサキハツをベエと吐き出してから、「辛味のクセがすごい!」とひとり呟いて、さらにほくそ笑んだことは言うまでもない。

 

今回、このカラムラサキハツを発見した際には周囲にもかなりの数が生え出してきていて、中には幼菌も数多く見られたのだが、幼菌の傘はずいぶんシックな紫色でなかなか見応えのあるものだった。

 

カラムラサキハツ(Russula omiensis)- 松江城マッシュルームマップ -

 

とまあそんな具合で、今年も新たなきのことの出会いを夢見つつ、2016年も松江城マッシュルームマップはじめちゃうよ。

 

お題「小さい春見つけた」

 

 

 

 

月白貉