ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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歴史は、お前を人ではなく魔物として記憶する! -『リンカーン/秘密の書』(Abraham Lincoln : Vampire Hunter)【後編】

後編にて話を再開しよう。

 

ちなみに前編の内容をまだ未読な場合には、以下をお読みいただけるとモア・ベターであり、さらにはプリティー・グッドである。

 

 

さてもうひとつ、もっとも注目すべきリンカーン暗殺における謎がある。

 

それは、リンカーン暗殺に使われた銃弾についてのことである。

 

これはおそらく知っている方の少ない話ではないのかと思うのだが、ジョン・ウィルクス・ブースがデリンジャー銃でリンカーンに向けて放った弾丸、つまりリンカーンに致命傷を与えた弾丸が、純銀製の特殊仕様のものだったという話がある。これは何を意味するかというと、

 

なんと、エイブラハム・リンカーンが晩年、銀にめっぽう弱い特異な体質に成り果てていたのではないかという話につながってくる。

 

この話の出処はここではあえて言及を差し控えさせて頂くが、なぜこんな不可解な話が浮かび上がってくるかと言えば、まことしやかに囁かれてきたある噂が発端となっている。

 

それは、南部連合に加担していたとされる特異な勢力の存在である。

 

南部連合の支持者だった暗殺の実行犯であるブースはこのことを知っていて、なおかつその勢力の手によってリンカーン自身の体質が特異化されているという事実を南部連合筋から入手していたという話がある。ブースがわざわざ特殊仕様の純銀製の弾丸を使用して犯行に及んでいる点、そして死後数十年を経たリンカーンの遺体ががまったく腐敗していなかった点が、線でつながってくるのである。

 

さらには、ブース自身が南部連合に関わりのあったその勢力下に所属していて、黒幕として暗躍するその勢力の指示で、リンカーン襲撃を図ったとの見解もある。そして、おそらくブース自身もリンカーンと同様の体質の特異化に及んでおり、煙草倉庫での軍曹からの通常の銃撃程度では死ぬことなく、その場にいた騎兵隊をなぎ倒して逃走を図ったという見方も考えられる、もちろん騎兵隊は純銀製の弾丸など装備してはいなかったはずであるから。

 

そんなこんなで、「前置きが長過ぎだよ、バカか!」という叱咤激励を浴びつつ、こういったことを踏まえて、映画の話に移りたいと思う。

 

もちろんお気付きのように、話の流れからしては細分化ジャンルでいうところの吸血鬼映画に触れてゆきたい。

 

というわけで、今回の映画は「リンカーン/秘密の書」(Abraham Lincoln : Vampire Hunter)である。

 

 

リンカーン/秘密の書」は2012年に公開されたアメリカのホラー映画で、セス・グレアム=スミスの小説、「ヴァンパイアハンターリンカーン」(Abraham Lincoln, Vampire Hunter)を原作として製作されている。

 

監督はカザフスタン出身の映画監督、ティムール・ベクマンベトフ

 

彼の代表作と言えば、やはりセルゲイ・ルキヤネンコのベストセラー小説を映画化した「ナイト・ウォッチ」(Night Watch)と、その続編である「デイ・ウォッチ」(Day Watch)であろう。ぼくは両作品とも鑑賞済みだが、ずい分昔のことなので詳細についてはすっかり忘れてしまった。ということは、特質するほどおもしろくはなかったのではないかと思うのだが、機を見て再度観返してみようと思っている。

 

 

主役であるエイブラハム・リンカーンを演じるのはアメリカの俳優ベンジャミン・ウォーカー、なかなかかっこよい名前であるが、ぼくはこの俳優に関して全くと言っていいほど知識を有していない。どうやらクリント・イーストウッドが監督した「父親たちの星条旗」(Flags of Our Fathers)に出演しているようだが、未鑑賞の映画のため言及は控えさせていただく。

 

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さて、この映画の中でぼくの個人的趣味から見る注目俳優であるが、まずは、映画内で描かれている吸血鬼の始祖であり、

 

吸血鬼勢力の首領アダム役を演じているイギリス人俳優ルーファス・シーウェルである。

 

彼はかの名作SF映画「ダーク・シティ」(Dark City)において、主役のジョン・マードックという人物を演じていたのが印象深い。他にも「ROCK YOU!」(A Knight's Tale)のアダマー伯爵役や「レジェンド・オブ・ゾロ」(The Legend of Zorro)のアルマン伯爵など、今回の映画での役柄を見ていただいてもわかるように高貴な雰囲気の人物、特に伯爵役などにはドンピシャリの雰囲気の持ち主である。ただ大抵は悪役寄りであるが。

 

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そしてもうひとり、南部連合の大統領ジェファーソン・デイヴィス役を演じるジョン・ロスマンである。

 

彼は実に多くの映画に出演しており、その中にはぼくの鑑賞済みの映画も数多く存在する。たとえば「ゴーストバスターズ」(Ghost Busters)、「ビッグ」(Big)、「コピーキャット」(Copycat)、最近ではアンソニー・ホプキンス主演の「ヒッチコック」(Hitchcock)にも顔を見せている。ちなみに「ゴーストバスターズ」での役柄はといえば皆さんご存知、図書館の職員役である。

 

COPYCAT

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さて、ではこの映画はどんなお話かと言えば、まあ前置きで散々話してきたのでわざわざここで話す必要もないかもしれないし、映画の原題を見てもらってもわかるように、

 

リンカーンって、アメリカ合衆国大統領兼ヴァンパイア・ハンターだったのね、ステキ、シビれちゃう、という物語である。

 

ひとつ言っておくと、前置きで長々と言及しているリンカーン暗殺についての事柄は、この映画の中では描かれてはいない話であり、別途文献を参考にしている史実プラスアルファに関してのことである。間違っても映画の内容を長々と説明するようなことはしていないので、まだ未鑑賞の方もご安心いただきたい。少しだけ言うならば、暗殺以前までのお話がこの映画で描かれている。

 

確かこの映画公開のほぼ同時期に、スティーヴン・スピルバーグエイブラハム・リンカーンを題材にした映画を監督している。

 

タイトルはもちろん「リンカーン」(Lincoln)、主役であるリンカーンを演じているのはダニエル・デイ=ルイス、ぼくはこの映画をまだ鑑賞していないのだが、ポスターを見ただけでもダニエル・デイ=ルイスリンカーンっぷりはなかなかのものであったので、いずれ鑑賞せねばなるまい。

 

さて、気付けば前編後編に渡りずいぶん長いおしゃべりになってしまった。そんなわけで、そろそろ御暇いたしましょうのコーナー、この映画でぼくの好きなシーンであるが、そ〜だな〜、後半、南部にある吸血鬼勢力の屋敷でのシーン、リンカーンの片腕であるジョシュア・スピードが馬車で突っ込んでくるシーンはなかなか好きである。

 

あのシーンを観ると、いつもなぜか「ジョジョの奇妙な冒険」の第一部を連想してしまう。

 

なぜかは分からないが、その理由のひとつにはまあ吸血鬼が関わっているということと、もうひとつ「スピード」という名前が何となく「スピードワゴン」にかぶってしまっているのかもしれない。

 

もうひとつ、好きなシーンではないのだが、この映画に出てくる吸血鬼は日光に対する耐久性がなかなか強いような気がする。どうやら日焼け止めクリームを塗っているみたいなのだが・・・そういう部分も吸血鬼映画愛好家として、大いなる見所といえば見所である。

 

そんなわけで、今回はこれまで、次回の吸血鬼映画に続く。

 

ちなみに、エイブラハム・リンカーンが晩年において吸血鬼化していたかもしれないという話、そしてリンカーンを暗殺した犯人、ジョン・ウィルクス・ブースもまた吸血鬼だったかもしれないという話、

 

信じるか信じないかは、あなた次第です!

 

おあとがよろしいようで。

 

お題「何回も見た映画」

 

 

 

 

 

月白貉