ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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真夜中の空洞

昨日の夜なのか今日の朝なのかは定かではないが、昔の出来事が夢の中に出てきたので文章にまとめてみる。

 

ほんとうにあったことで、今でも謎の残る話。

 

高校時代、まだ実家に住んでいた頃のこと、ある日真夜中に寝苦しくて目が覚めたら、細いベランダ越しの窓のカーテンの向こうが、なにか車のヘッドライトを向けられてるみたいにぎらぎら光っている。寝ぼけ眼で何だろうと思って窓に目を向けてみると、光をあてられたカーテン越しに影が走り回ってる。その影はひとつじゃなくて、確か数体いたと記憶に残っている。走り回っているから当然足音もする。古いベランダで、ちょっと柱も錆びてたぐらいだから、その上を何かが走り回れば相当な音がする。

 

当時は、テレビの二時間特集で矢追純一の「UFO番組」が一番盛んだった時期だった。

 

だから、その当時のぼくからしたら、それはもうまぎれもなくベランダの先にある銀色の飛行物体と、そこからベランダに降り立ったグレイタイプの宇宙人にしか思えなかった。本当に恐ろしくなって、冷や汗が出て、とりあえず見なかったことにしようと思って、フトンをかぶってやり過ごそうと考えた。

 

そこからの記憶は残っていない。

 

普通にいつもと同じ朝がやってきて、母親に叩き起こされた。ぼくは地元じゃなく、都心にあるずいぶん遠い高校まで電車を使って通っていたので、とにかく朝が早い。高校くらいにもなると夜更かししてテレビなんか観てるから、朝まともに起きられやしない。そんな眠くて仕方がない中、ベットから体を起こしてトイレに行こうとしたその時、歩こうとして前に出した左足がものすごく痛いのだ、激痛と言っても過言ではないくらいで、本当に歩けない。だからぼくは体育座りみたいな格好で、「いててっ」などと言いながら床をずりずり進まなければならなかった。それを見ていた母は、そんな猿芝居はどうでもいいから早く朝ご飯を食べて学校に行きなさいと怒鳴っている。いやいや猿芝居どころか、こんな激痛はないというくらい足が痛くて歩けないのに、学校になんか行けるわけがないと必死で説明するぼくを見て、母はしばらくニヤニヤと笑っていた。けれど、ぼくの芝居があまりにも鬼気迫っていたのだろう、いやいや芝居ではないからあたりまえだけれど、じゃあ仕方がないから病院にでも行ってみてもらいなさいということになった。

 

母は仕事があるため、車の運転が出来る祖母に付き添ってもらい、確か家から少し離れた整形外科か何かに連れて行ってもらった。

 

病院に着いて受付を済ませると、比較的空いていたのですぐにぼくの順番がやってきた。祖母を待合室に待たせ、病院の先生に、あれやこれやその痛みを説明したのだと思う。細かな会話は忘れてしまったが、左足のかかとの辺りに激痛が走っていて、歩くことすら困難です、みたいな感じだったろうと思う。そして病院の先生は、触診なんかをした後に、じゃあレントゲンとってみましょうかということになった。まあそれが普通の流れだろうと思う。レントゲンを撮ったぼくは、その旨を祖母に伝え、しばらくして出来上がったレントゲンを確認するために再び診察室に呼ばれた。

 

先生は開口一番に「誰か身内の方はいらっしゃってますか?」と言った。

 

ぼくに説明する前にである。おや、おかしいぞ、これはなにやら不穏な雰囲気になってきたなとぼくは思った。なぜなら、まあ痛みは別としても、その痛みの原因も心当たりがないし、その頃にはずいぶん痛みも治まっていたので、たいしたことなく、学校も休めて、きょうはよかったなあなどと軽く考えていたのだ。先生には、祖母が来ているのでいま呼びますと言い、待合室で不安そうな顔で待つ祖母に声をかけて診察室に戻ってくると、さっき撮影したぼくの左足の踵の部分のレントゲン写真が、ライト台に貼付けられて光っている。

 

「実はですね、これを見てもらってもわかると思うんですが、この踵の部分に黒い大きな影があるでしょ、これ穴があいているんですよ、この大きな黒い部分、大きな穴なんです。」

 

先生の言うように、ぼくの踵のレントゲン写真には、ピンポン球より少し小さいくらいの真っ黒い影がはっきり写っている。そしてそれを聞いた祖母の顔がだんだん歪んで白くなってゆくのが横目で見えた。

 

「これねえ、おばあちゃん、わたしのとこみたいな小さな病院じゃ、ちょっと手に負えないので、大きな病院いまからすぐ紹介しますから、これからそこにいってもらえますか?」

 

祖母とぼくは、なんだかわけもわからなかったが、はい、わかりました、とこたえて、いったん家に帰ってきた。

 

その夜、祖母が母にその経緯を説明して、足の踵の部分に大穴が空いているから、明日にでも紹介してもらった総合病院に連れて行きなさいということになった。そして明くる朝、母の運転する車に乗って、紹介された赤十字の総合病院を訪れることになったのである。総合病院ともなると、アホみたいに混み合っているのが特徴なのであるが、その病院も例外ではなく、紹介とはいえ初診ということもあって、朝早くから出かけたにもかかわらず、診察は確か午後二時頃になっていたと記憶している。母はわりと気が短い方なので、まったく何時間待たせるんだと、ちょっとご立腹になりかけていた限界ギリギリくらいで、診察室からお呼びがかかった。その後は、まあ最初に見てもらった町の整形外科と同じような流れで、いろいろ質問に答えた後レントゲン撮影という運びである。

 

そしてこれまたレントゲン撮影後の診察で「ご家族の方は、本日お越しですか?」と聞かれたので、母を伴って再び診察となった。

 

「結論から申し上げますと、左足の踵の部分にこのくらいの穴があいています、もしかしたら水がたまっているかもしれませんが、現在までにですね、似たような症例はあるものの、これとまったく同じ症例がないんですよ、で、ですね、現状、なぜ穴があいてしまったのかという原因が不明なんです。」

 

その先生は、何やら中世ヨーロッパの貴族が自宅に作り付けた図書館にでも置いていそうな分厚くて巨大な医学書みたいなものを持ってきていて、そのページをぱらぱらとめくりながら話していた。その後の話はここでは省くのだが、結局、診察はベテランの先生へとバトンタッチされ数年にわたったが、原因は不明のまま今に至る。

 

足の痛みもその時だけでそれ以来一切痛み出したことはない。

 

最後に担当してくれた先生は、

 

「これはたぶん進化だな!必要ない部分の骨がなくなったんだよ、最先端の人間ってことだな、きっと。まあ高いところから飛び降りたりすると普通の人よりは骨が折れやすいと思うから気をつけてね。」

 

といっていたが、それが冗談なのかどうかはいまとなっては定かではない。ぼくはその時笑って話を聞いていたが、飛び降りて骨が折れやすいんだったら進化でもなんでもないじゃないかと内心は思っていた。

 

その時はずっと忘れていたことなんだけれど、つい最近になってから、骨の穴と前日の不思議な体験が糸でつながるような気がしてならない。

 

そしてぼくの左足には、たぶんいまでも大穴が開いている。

 

お題「最近見た夢」

 

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月白貉