私では退治できないから、君を呼んだ -『コンスタンティン』(Constantine)
ぼくの所蔵映画ソフトの中にはホラー映画の占める割合が大きいことは以前にも書いたと思う。
ホラー映画と一口に言っても、その中には様々なジャンルが存在する。
まあジャンルと言っても公式に決められているわけではなく、あくまでぼくの認識として細かく切り刻んでいるだけであるが、いくつか上げてみると、例えばぼくの大好きなヴァンパイアを主体として描かれる吸血鬼映画、正体不明の怪物が跋扈するモンスター映画あるいはクリーチャー映画、皆さんご存知死人が生き返って人々を襲うゾンビ映画、日本映画の十八番と言われる心霊あるいは幽霊映画、頭のおかしい殺人鬼が主人公のサイコキラー映画などなど、たぶん細かく分類しだすときりがないのでこの辺りにしておく。
さてそこで、SF映画の中の「地球外生命体映画」と同様に、ホラー映画でも細分化ジャンルについて言及してみたい思っての今回である。
さて何がよいだろうかと映画ソフトが乱雑に(つい最近実家の物置に眠っていたものを取り寄せたのだ)つめ込まれたダンボールを漁ってみると、目にとまったものがある。そこでひらめいたホラー映画の細分化ジャンルであるが、「悪魔映画」で行こうじゃないかということになった。
悪魔映画と言ってもその中でさらに細かく分けることができる。
ぼくの所蔵するものの中で言うと、悪魔自体、いわゆるサタンと呼ばれる御大並びにその配下が登場してくるものと、もう一つは具体的なサタンや手下は登場しないが、そういった“悪魔らしき”ものが人間に憑依して周囲の人々を恐怖の底に叩き込むものがある。
前者に関しては例えば以前にも少しだけ触れたことのあるアラン・パーカーの「エンゼル・ハート」や我が敬愛するジョン・カーペンターの「パラダイム」などがあげられる。
「パラダイム」で描かれているものがここで言うところのいわゆる悪魔なのかという一抹の疑問はあるが。また同様に前者に関して注意が必要なのは、映画で描かれているものが一見サタン本人のようだが、最終的には存在がぼやかされているケースである。そこまできちんと精査してみると、実は前者に分類される映画は意外と少ないんじゃないかというのがぼくの個人的な意見である。ここは非常に重要な部分なのでご注意願いたい。
後者に関して言及するならばやはり外せないのがかの名作、ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」であろう。
これは後者の中でも更に細分化するといわゆる「エクソシスト映画」あるいは「悪魔祓い映画」と言うこともできる。ちなみにこの「エクソシスト」はシリーズ化されていて続編がいくつか存在するが、エクソシスト映画愛好家でもあるぼくは、もちろん全てに目を通している。わりと最近になってから鑑賞した「エクソシスト ビギニング」は、第25回ゴールデンラズベリー賞において最低監督賞ならびに最低リメイク及び続編賞にノミネートされていたらしいが、ぼく個人としてはなかなかどうしておもしろい映画だったと思うのだが・・・だって三回は鑑賞したからね。
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前置きが長くなるのが悪い癖なので、そろそろ本題に入ろうと思う。悪魔映画初回のチョイスはやはり前述の「エクソシスト」以外にはないだろうとは思っていたのだが、ひねくれ者で隙間をかいくぐるのが好きなぼくは、やはりかいくぐりたくなる。
というわけで、今回ぼくが選んだ悪魔映画は、前者に属しつつさらにエクソシスト映画でもある「コンスタンティン」である。
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「コンスタンティン」は2005年に公開されたアメリカ映画で、DCコミックの「ヘルブレイザー(Hellblazer)」というアメリカンコミックを原案として製作されている。
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監督はこの映画が初監督作品となるフランシス・ローレンス、オーストリア出身の映像作家でもともとはミュージックビデオをメインとして手がけていた人物である。ぼくが鑑賞済み映画で言うとウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」の監督を務めている。ほかにも「ハンガー・ゲーム」シリーズの第二作目以降の監督も務めているが、「ハンガー・ゲーム」シリーズは近年稀に見るクソつまらない映画だったため、ここでの言及はもちろん控えさせて頂く(つまらなすぎて気絶したほどだった)。
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主演を務めるのはキアヌ・リーブス、
彼といえばやはり「マトリックス」シリーズのイメージが非常に強いが、ぼく個人的に言うと「ビルとテッドの大冒険」や「スピード」あるいは「JM」などの方が印象に残っている。余談ではあるが、キアヌ・リーブスはサニー千葉の熱狂的なファンとしても知られていて、
「激突!殺人拳」からアクションと芝居を学んだ。
と語っているそうである。 さらなる余談ではあるが、ぼくはサニー千葉こと千葉真一の娘さんと元奥さんの野際さんとプライベートでお話したことがあるが、大した話ではないので先に進もう。
さて、この「コンスタンティン」はいかなる映画かということをあっさり薄味で説明すると、
ジョン・コンスタンティンって名前のクールな悪魔祓いがいるぜ!という話である。
この映画の見所はやはり御大サタンの描写に尽きるのだが、そのことについて触れてしまうとまだこの映画を未鑑賞の方の楽しみを奪うことになってしまうので言及は差し控えさせていただいて別な話に移ろう。
この映画のぼく個人的な最重要ポイントとしては、「ロンギヌスの槍」の存在にほかならない。
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ロンギヌスの槍のことはご存じの方も多いと思うが、いわゆる「聖槍」と言われるキリスト教における聖遺物のひとつで、磔刑に処された十字架上のイエス・キリストの生死を確認するためにその脇腹を刺したとされる槍である。またこの「ロンギヌス」というのは、その時にイエスの脇腹を刺したローマ兵の名前だとされているが、実際に脇腹を刺した兵士がいたかどうかについては定かではないとされている。
またこの槍は、歴史上においても度々姿を現し、聖遺物への崇拝が高まった時代においてはこの聖槍だと言われるものが実際にいくつも発見され、現在も複数の聖槍が各所に保管されている。
この映画内での聖槍の描かれ方はもちろんオカルティズムによったものなので、あまり歴史上の聖遺物としての背景は持ち合わせていない。ちなみにオカルティズムにおけるこの聖槍への言及はご存知のように、
「その槍を所有するものに世界を制する力を与える」との伝承である。
かのアドルフ・ヒトラーが学生時代にこの聖槍と出会っており、そこから後の行動に繋がる何かしらの力を授かったという話は有名である。ヒトラーはオカルティズムに傾倒していたことはもちろん多くの方が知るところであろう。
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この重要アイテムの出現により、この映画がいっそうおもしろいものになっているのである。
さていつものように、お別れのコーナー、この映画でのぼくのお気に入りのシーンである。主人公のジョン・コンスタンティンはかなりのヘビースモーカーで劇中では常にタバコを吸っているのであるが、とあるシーンで、机の上を歩きまわる小さな蜘蛛を見つけたコンスタンティンが、机の上においてあった硝子のグラスを逆さにして、その蜘蛛にかぶせて閉じ込めてしまうというところがある。
その後のコンスタンティンの行動は、言わずもがな。
ぼくはタバコをまったく吸わないし、タバコの煙が大の苦手ではあるのだが、この映画のあのシーンに関しては、とても好きなのであった。
というわけで、また次回の悪魔映画でお会いしましょう。
月白貉