ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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それは暑い年に限って起こる -『プレデター』(Predator)

地球外生命体を描いた映画は数多く存在する。

 

現在、ぼくの家の押し入れには約200本ほどの映画のDVDやらBlu-rayが仕舞い込んであるのだが、その中にも多くの地球外生命体映画、まあいわゆるSF(サイエンス・フィクション)映画が含まれている。ちなみに映画のソフトをコレクションしているわけではなく、何度も観返したいと思う映画を買っていたら結構な本数になっていたのであって、あくまでもコレクションではない。どちらかと言えば映画欲の成れの果て的な趣が強い。

 

「それをコレクションと言うのだよ、きみ!」

 

というツッコミも受けるかもしれないが、まあそれはさておき、ぼくの持っている映画のソフトはずいぶんとジャンルに偏りがある。

 

特に70年代から80年代にかけてのホラー映画とSF映画の割合がずいぶんと多い気がする。

 

そんなわけで、何か映画に関するコラムでも定期的に書いてゆこうと思ったりなんかして、やはりそうなると自分の思い入れのある映画の紹介になりがちであるが、なるべくであれば紹介ではなく再確認のために文章をしたためてゆこうと思う。

 

さて、押し入れのダンボールをゴソゴソと漁ると、やはりSF映画は結構ある。SF映画の中でも、今回の主題である「地球外生命体」に関するものもやはり多い気がする。

 

というわけで、まず最初に目にとまったものから書き始めてみよう。最初に目にとまったのは何かと言えば、

 

これぞ地球外生命体モノの名作、「プレデター」である。

 

 

ぼくは公開当時、この映画が観たくて観たくて、そうなると大抵は父にお願いして連れて行ってもらうのが常だったのだが、なぜかこの時は母と共に映画館に観に行った。事情は忘れてしまった。そしてその日はおそらく上映時間がお昼ごはんの時間帯と重なってしまったようで、映画館の近所にあったほかほか弁当で、唐揚げ弁当を買って映画館に持参したことを覚えている。

 

ちょっとだけ脱線して、「ほか弁」の店名に触れる。

 

今は「ほっかほっか亭」とか「ほっともっと」とかいう名前になっているフランチャイズのお弁当屋だが、たしかぼくの記憶だと他にも亜種が存在していて、勝手に名前を使っている個人経営の店なんかもあった気がする。「ほかほか亭」とか「ほっかほっか大将」とか。ぼくが唐揚げ弁当を買った店が正確にはどれだったかは忘れてしまったが、鶏の唐揚げがしっとりしていて薄くて長細かったのが特徴だったことをよく覚えている。そのしっとり感や形状は今現在存在するフランチャイズのほかほか系の弁当屋のものとはまったく異なったものだったので、あるいは個人経営の亜種の方だったのかもしれない。あの味は今でも鮮明に覚えているのだが、家庭で作る鶏の唐揚げのようですごく美味しかったのだ。

 

いまでこそ、映画館に弁当を持って観に行くなんてことは決してやらないが、その時はおそらくは母の企みで、映画を観ながら唐揚げ弁当を食べる計画だったのである。

 

映画はもちろん「プレデター」である。事前に映画雑誌で記事を読んでいたので、前情報としてだいたいのあらすじを知っていたぼくは、果たして唐揚げ弁当を食べながら観るような映画だろうかと一抹の不安を抱えてはいた。東映まんがまつりを観ながら唐揚げ弁当を食べるのとはわけが違う。

 

まあそれでも結局、ほか弁で買った唐揚げ弁当を持参し、映画館の受付でチケットを買い、劇場の中に入ってシートに着席した。

 

しかしここでさらに、ちょっとした誤算があった。当時の田舎の映画館では、「二本立て」というのが主流だった。しかもその二本立てが抱き合わせのようなものではなく、二つとも直球バリバリ最新作の大作であることが割りと普通だった。他の地域ではどうだったか知らないがぼくの地元ではそうだった。

 

そしてその日の「プレデター」の相方は、なんとアラン・パーカーの「エンゼル・ハート」。

 

エンゼル・ハート [Blu-ray]

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エンゼル・ハート [DVD]

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なおかつぼくと母が唐揚げ弁当を食べるタイミングで先に上映が始まったのが、「エンゼル・ハート」だった。今回は「エンゼル・ハート」については多く語らないし、残念ながらぼくの所蔵ソフトの中にはないが、もちろんなかなかの名作である。

 

しかしながら、唐揚げ弁当を食べながら観るにはずいぶんとハードな映画である上に、小学生が母親に連れられて観に行く映画でもない。当時はR指定などという年齢制限なんてものは存在しなかったため、劇中で人の首が斧で叩き割られるような映画だろうが、ハードなベッドシーンの嵐が吹き荒れる映画だろうが、大人子供関係なく鑑賞することが出来た。「エンゼル・ハート」はもちろん名作には違いないのだが、小学生にとっては内容も描写も刺激の多い映画であることには間違いなかった。

 

まあそんなこんなで、ぼくと母は唐揚げ弁当を食べながら本命ではない一本目の「エンゼル・ハート」を鑑賞したのである。もちろん「プレデター」だって唐揚げ弁当向きの映画ではないが、ぼくは唐揚げ弁当を食べながら途中で気持ちが悪くなったことを薄っすら覚えている。

 

 

さて、「プレデター」の話に戻ろう。

 

プレデター」は1987年に公開されたアメリカのSFアクション映画で、監督をジョン・マクティアナン、そして主演をアーノルド・シュワルツェネッガーが務めている。

 

シネマUSEDパンフレット『プレデター』☆映画中古パンフレット通販☆洋画

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映画の内容は覆い隠しつつ簡単に概要だけ説明すると、南米のジャングルでアメリカの特殊部隊数名が謎の地球外生命体に襲われるという話である。そして個人的な評価としては、とんでもなくおもしろい。だからDVDを持っているわけである。

 

公開当時、評論家の間では主にストーリーに関して、あまり評価を得ていなかったという話を聞いたことがある。脚本はジム・トーマスとジョン・トーマスのトーマス兄弟によって書き上げられた「ハンター(Hunter)」という作品で、登場する地球外生命体のデザインをスタン・ウィンストンが手がけている。当初スタン・ウィンストンがデザインした造形は劇中に登場する地球外生命体のデザインと大きくかけ離れていたが、ジェームズ・キャメロンの提案によりいまのデザインに完成することになる。

 

FUNKO Predator Retro Action figure 4体セット/プレデター

FUNKO Predator Retro Action figure 4体セット/プレデター

 

 

主役のシュワルツェネッガーに対して、この地球外生命体を演じたのは当初ジャン=クロード・ヴァン・ダムであったが、諸事情があり途中降板している。代わってこの役を務めたのがケヴィン・ピーター・ホール。なんと身長が218cmもあるという巨人で、「ハリーとヘンダスン一家」でビッグフットのハリー役などを演じている。

 

さて、この「プレデター」というタイトルは一体なんぞやということになる。

 

これはもちろんみなさんご存知のように劇中に登場する地球外生命体を指す言葉ではあるのだが、これは生命体の固有の種族名などを表すものではなく、「捕食者」あるいは「天敵」という意味の言葉である。劇中においての地球外生命体を指し示す言葉は「奴」とか「アイツ」などという形でしか出てこない。

 

この「プレデター」は以降、いくつかの続編とクロスオーバー作品などによって、またゲーム、コミック、小説などにも多く派生しており、現在でもファンの多いことはよく知られている。ぼく自身、映画に関してのみ続編およびクロスオーバー作品のすべてを鑑賞している。ただ往々にして続編のクオリティーというものはなかなか難しいというのが定説となっており、いちばん最初に製作されたこの「プレデター」には遠く及ばないが、直近の続編である「プレデター2」に関して言えば、なかなか健闘しているとぼく個人的には感じるし、観る価値はある。観返した回数もさすがに一作目には及ばないが、20回くらいにはなるだろうと思う。もちろんDVDも持っている。ちなみに「プレデター2」での舞台はロサンゼルス、地球外生命体と相対死するのはロス市警、ジャングルから一変しての市街戦となるところなどもまた見どころの一つと言えよう。

 

 

この「プレデター」は後に、地球外生命体映画の傑作「エイリアン」とクロスオーバーした作品へと続いてゆく。

 

「エイリアンVSプレデター」、「エイリアンズVSプレデター」、俗に「AVP」と「AVP2」と呼ばれている作品である。もちろんぼくも鑑賞済みではあるが・・・これは観なくてもいいだろうなあ。作品のディテールに関してはやや目を引く部分があるにせよ、簡単に言ってしまうと脚本も演出もおおよそひどい。「エイリアン」シリーズと「プレデター」シリーズをすべて見た上での、まあおまけ程度が関の山であろう。

 

 

とまあ、ぼくと「プレデター」との付き合いも思えばずいぶん長くなったものだが、いまでもときどき観返すし、いまでも1/1スケールのプレデターのフィギュアが欲しくてたまらなくなるほど、ぼくの中では第一級の地球外生命体映画であることに間違いはない。

 

プレデター」を語ったからには次に当然語らねばならない地球外生命体映画は決まってくるだろう。

 

もちろんリドリー・スコットの「エイリアン」である。

 

では、次回へ続く。

 

お題「何回も見た映画」

 

 

 

 

 

月白貉