夢の涯てまでも
「あなたの夢に、色はついていますか?」とたずねられた。
ぼくの見る夢には色がついている。あたりまえかと思っていたが、色がついていない人もいるらしい。
生まれた時から、目の不自由な人は、どんな夢をみるのだろうか。生まれた時から、無人島でひとりぼっちの人の夢には、見知らぬ人が出てくるのだろうか。もし、人間以外の動物や、昆虫や、魚類なんかを、いちども見たことがない人がいるとして、そんな人の夢には、人間以外の生物は出てくるのだろうか。
人間の深層意識の中に、生まれながらに持つ記憶みたいなものが埋め込まれているとしたら、見たことのない景色や、見たことのない生物や、あるいは、未知の経験みたいなものが、夢に出てくるんじゃないか。
昔から不思議に思っていたが、夢には見知らぬ人がたくさん出てくる。出会ったことがある、あるいは視覚的に認識した人が出てくるのはわかるのだが、まったく知らない人が出てくる。知らないと思っているだけで、街を歩いているときすれ違う人々を、脳が認識して記憶にためこんでいるのか。あるいは、はじめから持つ記憶の中に、通信販売のカタログみたいな「人間リスト」や「動物リスト」が入っているのか。
- 作者: ベヴァリームーン,アーキタイプシンボル研究文庫,Archive for Research in Archetypal Symbolism,Beverly Moon,橋本槇矩
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1998/02
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昔、ヴィム・ヴェンダースの映画に、夢を録画できる物語があった。
夢が録画できたらいいなあ、と思ったことはあるが、実際に録画できたとしても、映像として改めて客観的にみたら、そうとう恐ろしいものなんじゃないかとも思う。みたら、きっと頭がおかしくなるんじゃないだろうか。
眠るという行為は、身体的なことだけでなく、何か重要な意味があるのだろうか。そういえばある時期、毎日毎日の睡眠時間が急激に増えて、いつでもどこでも眠くなることがあった。ある知人にその話をすると、「睡眠時間が増えるのは、何かが成長しているからだ。」と言われたことがある。
夢と眠り、おそらくどこぞの学者たちが言い張っている科学的なこと以外に、もっともっと多くの謎が必ず隠されていると、ぼくはそう思っている。
もっともっと眠りを増やして、いつかその夢の先の世界へ。
「あなたは だんだん ねむくなぁ〜る」
「あなたは だんだん ねむくなぁ〜る」
「る〜ぁなくむね んだんだ はたなあ」
月白貉