ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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猫の役割

夜は、猫がこっそり歩く音くらいしか、聞こえてこない。

 

だから猫は、もっと聞こえないように、いまよりもっとこっそりと歩くようになる。

 

そしていつか、足が透明になって、ふわふわ浮かんで、くるくるまわって、空に飛んでゆくと思っていると、軽くなったはずの足は、今度は反対にどんどん重くなって、キンキンと音をたてながら、溶けたコンクリートの中にずぶずぶ沈んで、そして地の底のシャンバラにたどり着く。

 

そこで季節を教えてもらって、冬の前になると地中から飛び出して、銀杏の樹に寄生している、ギンナンバシリを頭にのせるんだ。

 

それがいつだって冬の始まりの光景。

 

誰も知らない猫の役割。

 

イチョウ 奇跡の2億年史: 生き残った最古の樹木の物語

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月白貉