ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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月に眠るオランウータン

赤い色をしたジュースを飲み干して、 きみにたずねるのです。

 

「なんで笑ってるの?」

 

「グラスの底にキノコが生えているから。」と、きみはクスクス笑うのです。

 

月に眠るオランウータン

 

閉店の時刻を過ぎても、 店主は何も言いません。 ぼくはグラスの底を見つめ、 きみはクスクスと笑い、 店主は言葉なく待つのです。

 

店の隅においてあるラジオからニュースが流れます。

 

「輸送中のオランウータンが、 逃走しました。 近隣の住民はじゅうぶん注意してください。 オランウータンは軽々と人間の首をへし折る腕力を持っています。」

 

屋根のないその店からは、 月が煌々と光っているのが見えるのです。

 

オランウータンも同じ月を見ているはずです。

 

そして、オランウータンもいずれ眠りにつくでしょう。

 

 

 

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月白貉