ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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特製というラーメン - ぼくひとりめし

朝ごはんと夕ごはんは、ほとんどの場合、自宅で作って相方と食べる。でも、時々はひとりで食べることもあるし、昼ごはんを何処か出先の外食で済ませることもある。

 

そんなわけで、そういうときには「ぼくひとりめし」なのだ。

 

とある山の上にある神社の参道、長い参道にはたくさんの店が並んでいるのだが、ずいぶんと寂れてしまってほとんどの店がシャッターを下ろしている。かつては遊園地や動物園が併設しており、ずいぶんな賑わいだったらしいが、今はその影もない。

 

そんな人影もない参道の小さな食堂で食べたラーメンの味。

 

お母さんがひとりで切り盛りしているらしく、メニューも観光地の食堂にありがちな王道のもの。カレーやら親子丼やら、そしてラーメンやら。ぼくがラーメンを注文してしばらく、

 

「はいっ、特製ラーメン一丁、お待ちどう様!」

 

メニューの表記は「ラーメン」だったが、どうやら「特製ラーメン」らしい。客はぼくひとりきりで、参道の様子をみる限りだと、他に誰か入って来る気配もない。だから奮発しての特製ラーメンなのか、あるいはぼくの容姿がお母さんの好みだったからのサービスなのかは定かではないが、見た目も味も、そして雰囲気も、特製にふさわしいもので心がほっこりする。

 

ごはんってものは、いろんな要素が絡み合っての美味しさが確実にある。そういう部分が、特製の部分なわけさ。

 

ちなみに、ぼくがラーメンをすすっていると、スーツ姿にサングラスの中年男性と、ちょっと綺麗な若いアメリカ人女性の異色カップルが店に入ってきた。

 

男性は座るなり、「じゃあ瓶ビールね!グラスはひとつで。」とビールを注文すると、ビールとともにちゃんと「お通し」が運ばれて来たわけだよ。

 

そしてお母さんの一言が、これまたいいわけさ。

 

「これしかないけど、手作りだよ!」

 

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ラーメン改め、特製ラーメン。

 

 

 

世界一周ひとりメシ (幻冬舎文庫)

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月白貉