シロ
ぼくの家にはシロという犬がいる。
からだの色は、白くない。
白くないわけではないけれど、からだの色は白と、茶色と、黒。
「シロチャクロとか、チャクロシロとか、クロシロチャじゃ、 なんだかいやでしょ。」
そいうってぼくの母がシロという名前を犬にあげた。
「犬がはじめてここにやってきた日にだっこしたらね、 からだがぽわぽわ白くひかるわけよ。 こういうふうにケセランパセランみたいにひかるわけ。 」
そういって母は両腕をゆらゆらと揺らしてひかった。
「でね、手を離すとさ、この犬、ぽわっと浮かんで空へ飛んでくわけよ。 こういうふうにケセランパセランみたいにさ、飛んでくわけ。」
そういって母はもっと両腕をゆらゆらと揺らして、空へ飛んでった。
しばらくして、空からぽわぽわ降りてきた母は、
「だからシロにしたの。」
といった。 そいうい経緯で犬はシロになった。
ケサラン・パサラン (1巻) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/07/23
- メディア: コミック
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月白貉