ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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シロ

ぼくの家にはシロという犬がいる。

 

シロ

 

からだの色は、白くない。

 

白くないわけではないけれど、からだの色は白と、茶色と、黒。

 

「シロチャクロとか、チャクロシロとか、クロシロチャじゃ、 なんだかいやでしょ。」

 

そいうってぼくの母がシロという名前を犬にあげた。

 

「犬がはじめてここにやってきた日にだっこしたらね、 からだがぽわぽわ白くひかるわけよ。 こういうふうにケセランパセランみたいにひかるわけ。 」

 

そういって母は両腕をゆらゆらと揺らしてひかった。

 

「でね、手を離すとさ、この犬、ぽわっと浮かんで空へ飛んでくわけよ。 こういうふうにケセランパセランみたいにさ、飛んでくわけ。」

 

そういって母はもっと両腕をゆらゆらと揺らして、空へ飛んでった。

 

しばらくして、空からぽわぽわ降りてきた母は、

 

「だからシロにしたの。」

 

といった。 そいうい経緯で犬はシロになった。

 

 

 

 

 

月白貉