ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ベニヒガサ(Hygrocybe cantharellus)- 松江城マッシュルームマップ -

ぼくは男の子なので、いままで日傘というものをさして出歩いたことがない。

 

別に男の子だからといって日傘をさしてはいけないという法律なんてないのだけれど、なんとなく世間の流れに飲まれてしまっていた。でも近年はさしたくて仕方がない。だって真夏の炎天下の直射日光を避けるには最適の道具ではないか。ここ何年かは夏の日差しを防ぐために、メキシコ人が冠っているみたいなツバの広い麦わら帽子を愛用していたのだが、日向以外の場所ではかさばって仕方がない。そして目立って仕方がない(日常的に麦わら帽子を冠っている人がなぜ世間にはあれほどいないのか?)。日傘だったら日陰では閉じればよいし、いざとなったら杖にも武器にもなるし、一石三鳥ほどもあろうに、麦わら帽子は日陰に際しても閉じることは出来ず、杖にも武器にもならないではないか。あるいはツバに刃を付けておけば、某英国諜報部員が活躍する映画シリーズに出てきた悪役の持つシルクハットのような武器にはなりそうで、それはそれで心惹かれるが。

 

まあなんにしても、これからの時代は男子たるもの日傘を常備せねばなるまいと思う。

 

というわけで、今回のハンティングきのこは「ベニヒガサ」である。

 

松江城マッシュルームマップ - ベニヒガサ -

 

ヌメリガサ科アカヤマタケ属のきのこで、学名を「Hygrocybe cantharellus」、漢字で書くと「紅日傘」である。

 

高さは3cmほどにしかならない可憐で小さなきのこだが、その鮮やかな紅色にはるか遠くからでも目を奪われる。食毒は不明であるが、酢の物に入っていたらさぞかし美しいであろう。

 

日傘に話を戻そう。

 

大学の時分に、同級生に男の子で日傘を常備している友人がいた。

 

真夏などはキャンパス内で優雅に漆黒の日傘をさして歩いている姿をよく見かけたものだ。彼は女の子も好きだったが、男の子も好きな傾向を持ちあわせており、ぼくは一時期気に入られていて、日傘の相合傘でキャンパスをふたりで歩いたこともあった。

 

それ以上は特に何もなかったと一筆記しておこう。

 

彼はもしかしたら、というかおそらくそれ以上を求めていたのかもしれないが、ぼくはいたって女の子にしか興味が無い質なので、まあさすがにそれはちょっと。

 

その時さしていた日傘はレースの付いた真っ黒い傘だったが、相合傘の際は、端から見たら紅日傘のような色をしていたかもしれない。

 

まあそれはそれで美しいと思うけれど。

 

 

 

男の日傘

男の日傘

 

 

 

 

月白貉