ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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シロソウメンタケ(Clavaria fragilis)- 松江城マッシュルームマップ

夏もそろそろ終りに向かいつつあるこの頃だが、夏の風物詩のひとつであるソウメンをぼくは今年まだ食べていない。

 

厳密に言うとソウメンチャンプルーは食べたのだが、ソウメンを食べていないのである。

 

子どもの頃、夏休みのお昼に頻繁に食卓に登場していたソウメン。

 

水と氷がたっぷりはいった巨大で透明な硝子の器に盛られたソウメンを箸で高々と天に掲げ、濃い目の麺つゆが入ったこれまた透明な硝子の器にジャボンと叩き込み、すかさず一気に口から喉へと流し込む。一口目が喉を通り抜ける頃には、すでにぼくの口先には第二陣が投入され、そうなってしまってはもう止まらない。第三陣が投入される頃には、もう第一陣は尻から噴き出しているんじゃないかと思うくらいのスピード感がソウメンにはある。そしてその疾風が、真夏の火球のような暑さをいっとき忘却の彼方へと弾き飛ばすわけだ。

 

嗚呼、ソウメン。

 

ちなみにぼくの実家のソウメンの薬味は、大方が大葉の千切りと茄子の油炒めだった。

 

というわけで、脱線間近の暴走列車を正しい軌道に戻しつつ、今回のハンティングきのこは「シロソウメンタケ」である。

 

シロソウメンタケ(Clavaria fragilis)- 松江城マッシュルームマップ -

 

シロソウメンタケ科シロソウメンタケ属のきのこで、学名を「Clavaria fragilis」、漢字で書くと「白素麺茸」である。

 

ソウメンと名が付くだけあって食用は可能だが無味無臭なのであたり濃いめの味付けがよいであろう。それこそ山のように収穫したシロソウメンタケをさながらソウメンのように麺つゆでズルズルいただくという手もある。

 

ぼくは以前これの紫色をした種類をひと茹でして食してみた。歯ごたえはコリコリしていたがまったくの無味無臭で、わざわざ食べなくてもよかったなあと、後になってからきのこに申し訳なく思ったものだ。

 

というわけで、いくらソウメンタケとはいえ無理に食べずとも、その優雅な容姿を鑑賞するのがよいであろう。

 

さて、明日の昼は、ソウメンタケを思いながらソウメンでもすすってみようか。

 

 

 

ソーメンと世界遺産 (ナマコのからえばり8)

ソーメンと世界遺産 (ナマコのからえばり8)

 
手延べ小豆島そうめん 4kg (約80束)

手延べ小豆島そうめん 4kg (約80束)

 

 

 

 

月白貉