血と暴力の先にあるもの、アーニャ・ベイヤーズドーフ監督『ヴァンピーア(原題:Vampir)』
今回は、オーストラリアの女流映画監督アーニャ・ベイヤーズドーフ(Anya Beyersdorf)による『ヴァンピーア(原題:Vampir)』という短編作品を取り上げてみたい。
source: anyabeyersdorf.files.wordpress.com/2015/09/vampir_presskit.pdf
ちなみにだが、「ヴァンピーア(Vampir)」とはドイツ語で、これは英語で言う「ヴァンパイア(Vampire)」、つまり日本語に置き換えると一般的には「吸血鬼」という意味になる。
この吸血鬼なる存在が何かという話を繰り広げるには多くの言葉を要するのだが、一般的には世界各地の民俗の中で語り継がれているいわゆる悪しきものであり、簡潔に言えば血液を吸って自らの栄養源とする生ける死体もしくは不死者である。また日本語の吸血鬼には、それが転じて、“無慈悲に人を苦しめて利益を搾り取る人間”という意味もあるらしい。
無慈悲な搾取者に対して「あいつは吸血鬼だ!」という表現を個人的に日常生活で使ったことはない。ぼくがそう口にする場合には、「あいつは血を吸う不死者に違いない」というケースがほとんどである、どうでもいい話だけれど。
さて、当ウェブログの構成要素として「ヴァンピーア」というタイトルとなれば、当然ホラー要素満載の吸血鬼作品だと思われるかも知れないが、それは観てのお楽しみ。
少しだけ言えば、吸血鬼映画というものが、必ずしもそういったモンスター的な、あるいは民話や伝説に登場する邪悪な存在である吸血鬼を直接的に描いたものだけではないであろうということである。
では一体この作品で描かれていることはなんぞやということだが、それは本編をご覧頂いてあなた自身が考えるのがよろしかろうと思うので、個人的な見解は割愛させていただく。ただ物語の根底にはもちろん、ヴァンピーアというテイストが色濃く滲んでいることは確かである。
少しだけキャストの話を付け加えておくと、本作品でウラジミール(Vladimir)という名の男を演じているのは映画監督でもあるトニー・ロジャース(Tony Rogers)である。おそらくは彼が、作品の軸としての吸血鬼なのだと思うが、あるいは。
Tony Rogers as the VAMPIR.
— Anya Beyersdorf (@AnyaBeyersdorf) 2016年3月29日
Cast Photo#filmmaking #vampir pic.twitter.com/fETgjdeSXS
というわけで、『ヴァンピーア』の本編が公開されているので、興味のある方は是非にもご覧頂きたい。一見の価値はある作品だと個人的には感じたよ。
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