ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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日記

アラビアではない場所で、どこでもない場所で死んだロレンスへの、短い日記。

WEBLOGを毎日書かなくなったあの日から、もう二年くらいは経ったのかな。そんなことすらも、よく覚えていない。 本当は数日前に、小さな怖い話を書こうとしていて、その種を大切に凍らせていたけれど、書けなかった。その種が芽吹くことは、いつかあるかもし…

サイハテ

「ねえ、」 10月に入っても、まだまだ夏の残照みたいなものが漂うある日、大きなおおきな嵐がゆっくりと走り去ったある日、その背後に柔らかい冷気をもたらした。 「ねえ、ハクトはさ、ありがとうって言わない人だよね。」 「えっ?」 リサが左と右の両掌で…

いつか彼方の、ギターレ交換(仮)日記。

ギターを練習していた頃があった。 まったくの独学で、何もわからないまま、ギターを練習していた。だだっ広い公園の誰もいない芝生の上に座って、何度も何度もワンフレーズだけを繰り返していた。 なぜギターを練習していたのかと言えば、あの時ぼくは、と…

みずうみ、日記

365日、そしてその次の150日くらい、湖ばかり見ていた。 湖は、透き通るような青だったり、沈みゆく緑だったり、焼けるようなオレンジだったり、陰鬱な灰色だったり、漆黒たる深い闇だったり。 結局あれは、水に映えた空の色じゃなくて、ぼくから滲み出した…

心正しき者の歩む道を阻むなかれ、ボンバーボマー日記。

やることがな〜んにもないので、ここしばらくずっと『ウォーキング・デッド』(The Walking Dead)ばかり観ている。 放送開始当時、シーズン2くらいまで観たのだけれど、途中で「オエッ」となって観るのをやめた。嗚咽したのはゾンビの腐肉が原因ではなく、…

天国とか地獄とか、狭間日記。

今日観た映画、スティーヴン・ソマーズ(Stephen Sommers)監督の『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(Odd Thomas)』、そして、リュック・ベッソン(Luc Paul Maurice Besson)監督の『アンジェラ(Angel-A)』。 ずっと雨が降っていて、一日中家の中で…

なぜなら、いま雨が降っていたから、日記

雨降る中をあえてランニングしたのは、ずいぶん久しぶりだった。 雨中のランニング、宇宙じゃないぜ、でも最後に走ったのはもう十年以上前じゃないかな。 十年も経つと少なからず体の様々な状態がその当時とは違っていてさ、あの頃は、季節はたぶん今と同じ…

目を閉じちゃいけない、それが決まりなんだウォーキングジョニー日記。

ジャックダニエルで歯を磨こうと思って近所の陰気臭い酒屋に買いに行ったけれど、結局安売りしていたジョニーウォーカーとフェイマスグラウスを買って帰ってきた数日前。 ボウモアとか買おうかと迷ったけれど、この頃のうらぶれたぼくには安いブレンデッドで…

ロンT、日記。

日記を書こうと思って、散々延々長い文章を書いたけれど、ただただ退屈に無駄にまともなことを書いていて、読んでいて吐き気がしたので、すべて消して今に至る。 消しちゃったよ、おいおい・・・。 日記はちょっと狂っているに限る。 何を書いていたかと言う…

青いバナナの香りと、日記。

今からバナナを食べようかどうしようか、たぶんもう一時間くらい迷っている。 それが人の生き方なのさ。 迷う時間を惜しいとは思わない。ずっと迷ってばかりだし、その迷いに明確な答えが出たことなんて、考えれば一度もない。そして今までにどれだけ迷いが…

ホルロードの影日記

時々くじける。 時々っていう時間軸、時間の感覚か、そういうこと人それぞれだろう。年に一回とか、月に一回とか、週に一回とか、一時間に一回とかさ、でもたぶん、みんな日々の中で、毎日数回はくじけるだろ? ぼくはくじける。日によるが、一日に数回くじ…

レミントンM870日記

同じ道を同じ時間帯に毎日毎日歩いていると、必ず目にする人々がいる。 もちろん、向こうからしても、目にされている自分がいるわけだが。 数えてみるとたぶん、コアな数は二十人くらい、いるんじゃないのかな。 田舎は基本的に徒歩で移動している人が極端に…

ノンノン、エルキュール・ポアロの最後日記。

怖い話を書きたいなあって、この一週間くらいずっと考えてるんだけれど、なんだかうまく頭がまわらない。 最近なにか怖いことってあったかなあと、改めて頭の中をさまよう。 朝起きて、昨夜閉めたと思っていたカーテンが全開だった日があった。 その次の日に…

空の青さの、その先の向こう見ず日記。

もう七年くらいテレビを観ていない。 新聞なんて数十年読んでいない。 上記のふたつが本当にまともなメディアなら、今からでも観たり読んだりするだろうが、まともじゃないからさ。 「なんでテレビを観ないんですかっ!?」って割と聞かれるんだけれど・・・…

夏が終わる頃の夕暮れの、少し血の匂いのするっと日記。

朝起きると雨が降り始めていた。 だからあまり起きたくはなかったけれど、なんとか起き上がり身支度を始める。トイレに行き、歯を磨き、軽いストレッチと一年半くらい続けている我流の筋トレをこなす。我流なので一体どこの筋肉にどんな風に効き目があるのか…

邪王炎殺黒龍波っ、日記。

今朝方の夢にさ、あ、それを書くのはやめた。 どんなふうに書いても、ディテールに配慮するなら、つまりディテールがないと書く意味がないので、具体性を帯びすぎるから、ほんとうに書けないやつだった。 べつに、書いたって、いいんだけど、 だた、社会的な…

ココロのボス日記。

このWEBLOGをほとんど書かなくなったあの日からずいぶん時間が経ち、その間にぼくは、毎日湖ばかり見ていた。 クソみたいな日々を捻り潰しながら、毎日、毎日、 無言のまま、あるいは何かをひとりでつぶやきながら、時には歌を歌いながら、いったいあの湖を…

こっこ、こけっこ、コケコ、怖い日記。

夏もそろそろ、そろそろそろりと終わりを迎えるので、めったに書かない怖い話を少し書こう。 めったに書かないから、歯を食いしばって、寝る前には歯を磨けよ、おいおい。 つい最近、映画館で働いている友人から聞いた話。 「同僚におばけを見る人がいるの、…

ビューティフルワールド、そして日記へ。

昨夜、わが日常の一幕にエリア常駐型ちっこす仔猫出現の衝撃を日記に書き終えて(衝撃はぜんぜん表現されてなかったけれど)、ぼんやり赤ワインを飲んでいたら、軽く握って机の上に何気なく置いていた右手の掌の内側が、コソコソする。 なんだか嫌な感じに、…

ちっこす日記。

帰り道、いつもの二人は一緒じゃなくて、ポーと一緒にいたのは、ちっこすな名もなき仔猫だった。ロレンスはいなかった。ロレンスには今日の朝、挨拶をした。そして無視された。その時ポーはいなかった。 ちっこすな薄茶色の斑の仔猫は、ポーとロレンスの子供…

ニュース速報です、パープルな猫感染プライベート日記。

誰かの日記を覗き見たことはあるかな。 物質的に文字で書かれた、鉛筆や筆で書かれた、ごく個人的な誰かの日記を。 覗き見ると言うと、なんだか気の狂った犯罪めいた、江戸川乱歩の描く世界のような趣きがある。でも、ひょんなことから誰かが真剣に書いてい…

汚れつちまつた悲しみは、突き抜け孤独に追いつくか日記。

帰り道、その始まりが暗闇ではなくなった。 まだ空の向こうのほうがオレンジ色でさ、家に帰り着くまでずっとずっとオレンジ色で、そのオレンジ色の上から、水色とも青とも薄い紫とも言えないような、まだ闇にはならないけれど、おそらくは闇なんだろう色が、…

もしもしメロス、おれだよ、おれも走ってるよ日記。

昨日、夕暮れ時に熱いシャワーを浴びていたら、流しっぱなしのラジオからかAdeleの『Hello』が聴こえてきた。 それから今までずっとずっと、その歌が頭から離れず、何度も何度も口ずさんでいる。歌詞をちゃんと覚えていなから全部は歌えないけれど、昨日の夜…

やがてボケてしまった、薄ら美しい日記。

ぼくはここ数年、六年とか七年とかかな、テレビを一切観ていない。 テレビも観ていないし、新聞も読まないし、ラジオも聞かない。いわゆる日本の情報系のWEBサイトもまったく閲覧しない。Yがつくなんちゃらニュースとかに代表される例のくだらないやつもね。…

たとえば夜の夢をみたことがない人がいるなら、改めて丁重にこんばんは日記。

眠っている時間にみる夢の中で、それが夢の中だと完全に認識しているケースが有ることは、おそらくだが多くの人が経験していることだろう。 そういう範疇をまったく超越した、純カオスたる夢も一方ではあるが。けれどそれはさておき、比較的ドラマティックな…

いいですかレディー、人が撃たれたら血は流れるものなんです日記。

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。 それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。そして勢いをひとつまみ…

よもや、真剣日記。

妥協のない日記を、かつていままで書いたことがあっただろうか。 いや、そういうことを書こうと思ったことはあったし、書いた気になったことは無限だろうけれど、けれど、大抵はそんなものは書けないままに人は、穴熊の如き速さで、必死に走り続けるのだろう…

インスタグラムのような、そうでもないような濃密色の日記。

この数ヶ月、嫌な夢ばかり見ていた気がするのだけれど、昨日の、いや今朝の明け方見ていた夢は、あまり嫌な夢ではなく、そして鮮明に覚えている。 ぼくはどこかへ向かう電車に乗っている。たぶん家に帰る途中なのかもしれない。ボックスシートではなく、横に…

ゴラダームの穴の話

道端で、目の前を歩く見知らぬ老婆が唐突に転んだので、何も考えることなく慌てて咄嗟に駆け寄って手を差し伸べた。 「だいじょうぶですか?」 「ああ、ああ、ありがとうね、ぜんぜん大丈夫だけん、あんたみたいに若くても、うっかり転ぶでしょう。そのうっ…

きょうは八宝菜は作らない、けれど地獄の13丁目にある映画館で足止めを喰らう日記。

毎日定期的にウェブログを書かなくなって、もうおそらく八ヶ月ほどは経過したに違いない。 八方広がりの八ヶ月であり、同時に八方塞がりの八ヶ月。 物事なんてものは常に表裏一体で、流れ行く日々は状況が如何にあれど、幸福でもあり、不幸でもある。けれど…