ぼくが小学三年生の時の話。 夏休みを目前に控えたある日、二時間目の国語の授業が始まってすぐに、渡辺くんが手を上げてトイレに行きたいと言い出した。 おそらくは大きい方だったと思うのだが、渡辺くんが顔を真っ赤にして、椅子から腰を浮かせて体をモゾ…
風が止んで茹だるように暑い夏の昼下がり、私は妹と一緒に近所の古い鎮守様の境内で、本殿の床下に山ほど築かれた蟻地獄に蟻や団子虫を落として遊んでいた。 太陽の光がカラカラと木陰に舞い落ち、蝉がその光に合わせてケラケラと笑う。 「おねえちゃん、ア…
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